2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚ガス一酸化窒素から得られる生体情報について -加齢、生活習慣病との関係から-
Project/Area Number |
21500683
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 宏 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (10203168)
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Keywords | 一酸化窒素 / 皮膚ガス / 加齢 / 脈波伝播速度 / 血圧 |
Research Abstract |
本研究では、加齢にともなう血圧の変化が皮膚から放出される一酸化窒素(Nitric Oxide : NO)濃度に及ぼす影響を明らかにし、皮膚ガスNO濃度と血圧、脈波伝播速度(pulse wave velocity ; PWV)との関係からヒトの皮膚ガスNO濃度測定が動脈などの循環調節機能や動脈硬化指標として有用であるか否かを検討しようとした。 被験者は、健康な20歳代前半の女子大学生ll名(22.1±0.3歳;平均±標準誤差)とホルモン補充療法を行っていない70歳以上の高齢女性(76.7±1.4歳)とした。被験者の安静時の皮膚ガスサンプルを左右の手について同時にそれぞれ2回ずつ採集し、その平均値を安静時の皮膚ガス中NO濃度としてNO測定装置(ピコ・デバイス社製)を用いたオゾン化学発光法によって測定した。また、皮膚ガス採集直後に仰臥位で、血圧脈波検査装置VaSera VS-1000(フクダ電子株式会社製)を用いて血圧およびPWVを測定した。PWVは、心音と上腕カフの容積脈波から計測した心臓-右上腕間のPWVを大動脈PWVの推定指標として用いた。 これらの結果、皮膚ガスNO濃度、血圧、PWVは加齢により有意に上昇し、皮膚ガスNO濃度と血圧、PWVとの間には有意な正の相関関係が認められた。本研究では実際の血管内皮の情報が少ないため生理学的な背景を追求することは今後の課題として残るが、皮膚ガスNO濃度測定が血管内での循環調節機能や動脈硬化に関する情報に関与している可能性が推察された。
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