2009 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素環境への生体適応理論に基づいたメタボリック症候群改善のための新たな運動処方
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21500686
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
荻田 太 National Institute of Fitness and Sports in Kanoya, 体育学部, 教授 (50224134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜岡 隆文 鹿屋体育大学, 体育学部, 教授 (70266518)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 低圧低酸素環境 / 運動性激 / 経時的変化 / 最低期間 / 高血圧 / インスリン感受性 / 身体組成 |
Research Abstract |
【目的】本年度は、生活習慣病の各危険因子の経時的変化を追跡し、それぞれの因子に対して「効果が現れる最低期間」を明らかにすることで、メタボリックシンドローム改善に対する効果的運動処方プログラムを確立することであった。 【方法】被検者は健康な一般成人とし、通常環境でトレーニングを行う常圧群(8名)と、標高2000m相当の低圧環境下でトレーニングを行う低圧群(8名)に分けられた。トレーニングは50%VO_2max相当の水中運動とし、1回30分間(低圧低酸素暴露は計2時間)、週4回の頻度で、8週間行われた。トレーニング前、開始1週、2週、4週、8週後に、安静時および同一最大下運動時の循環応答、血液性状(血中脂質、糖処理能)、身体組成について測定した。 【結果及び考察】常圧群においては、トレーニング開始4週後以降、循環応答や身体組成に改善傾向が認められたが、必ずしも有意な変化ではなかった。 一方、低圧群では、2週目から最大下運動時の1回拍出量、心拍出量の増加、平均血圧の低下傾向が認められ、4週間後には有意な変化となった。血液性状については、空腹時の血中脂質、血糖値には有意な変化は認められなかったものの、経口糖負荷試験二対するインシュリン感受性は、2週後で有意な改善が認められた。さらに、体重、体脂肪率、腹膜前脂肪厚についても、2週後で有意な低下が認められた。 以上の結果より、海抜2000m相当の低圧環境下での運動は、体脂肪の低下、糖処理能の亢進、心血管機能の向上をもたらすことが再確認され、その中でも体脂肪、糖処理能の変化(2週間)は、循環諸指標の変化(4週間程度)より早期に起こることが示唆された。ただし、効果の程度については個体差が大きく、それが何に依存するものなのか、今後の検討課題として残った。
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