2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋細胞における糖代謝制御におよぼすストレッチの効果とその分子機構の解明
Project/Area Number |
21500687
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
小原 一男 University of Shizuoka, 薬学部, 講師 (60117611)
|
Keywords | 骨格筋 / 糖代謝 / ストレッチ / GLUT4 / Akt / PI3K / カベオリン3 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの改善には運動療法が極めて重要な位置を占める。一般的に運動の際にはエネルギー消費に加えて、骨格筋細胞には「受動的ストレッチ刺激」も加わる。しかし、受動的ストレッチが骨格筋細胞に及ぼす影響については、これまで詳細な検討はなされてこなかった。申請者らは最近、摘出マウス下肢骨格筋において、受動的ストレッチにより、糖輸送担体GLUT4の細胞膜への移行や糖取込みが促進されることを見出し、骨格筋を受動的にストレッチするだけで血糖値を下げられる可能性を示唆した。本研究では、骨格筋においてインシュリンによる糖取込みに関与すると考えられているAktと機械的刺激のセンサーの一つと考えられているカベオリン-3の受動的ストレッチによる糖取込みへの関与について検討した。マウス腓腹筋より単離した細い筋束に生体長の20%で1Hzの受動的ストレッチ刺激を与えると、糖取り込みの増加およびAktのリン酸化の増加が認められた。このAktのリン酸化の増加はPI3-キナーゼ阻害薬のワートマニンにより抑制された。また、カベオリンノックアウトマウスでは受動的ストレッチによるAktのリン酸化の増加は認められなかった。免疫組織学的検討より、受動的ストレッチ刺激によりPI3-キナーゼが細胞質から細胞膜に局在するカベオリン-3の近傍に移行することが明らかになった。以上の結果より、マウス骨格筋において、受動的ストレッチ刺激によりPI3-キナーゼが細胞質から細胞膜表面のカベオリン-3の近傍に移行され、Aktのリン酸化が惹起されることが示唆された。その際、カベオリン-3が機械的刺激のセンサーというよりは反応の足場として機能している可能性が示された。
|
-
-
[Journal Article]2009
Author(s)
Koichi Nakayama
-
Journal Title
Mechanosensitivity in Cells and Tissues 3. Mechanosensitivity of the Heart(Springer)
Pages: 453-481
-