2011 Fiscal Year Annual Research Report
コエンザイムQ10結合タンパク質サポシンBを介した脂質の腸管吸収機構の解明
Project/Area Number |
21500698
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
加柴 美里 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (80338186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 順寛 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60134475)
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Keywords | 老化 / 脂質 / 食品 / 蛋白質 / 抗酸化物質 |
Research Abstract |
食事、サプリメント中のコエンザイムQ10は小腸で吸収されるが、その吸収機構は不明である。我々は、糖タンパク質サポシンBがコエンザイムQ10と複合体を形成し、脂溶性のコエンザイムQ10を可溶化することを見出した。更に、サポシンBが腸管に存在すること、その存在が管腔側に局在していることを見出している(未発表データ)。 本研究は、小腸におけるコエンザイムQ10結合蛋白質サポシンBの役割解明を目的とする。小腸のモデルとして、Caco-2細胞を用いた。Caco-2細胞は結腸腫瘍から単離された培養細胞であり、小腸上皮細胞様に分化することが知られている。 昨年度までに、遺伝子工学手法を用いてサポシンB前駆体蛋白質プロサポシンのノックダウン株を作製した。樹立したプロサポシンノックダウン株の基本的な細胞特性の解析を行ったところ、プロサポシンノックダウンCaco-2細胞株では内因性コエンザイムQ10がコントロールCaco-2細胞より低値であることを見出している。 本年度は、作製したプロサポシンノックダウンCaco-2細胞株の3次元培養を行った。コントロール細胞と同じ条件で3次元培養し細胞分化を試みたが、プロサポシンノックダウンCaco-2細胞株では、膜抵抗値が上昇せず、タイトジャンクション形成がうまくいっていないことが示唆された。そこで、膜透過性を解析した。解析にはLucifer Yellowを用いた。コントロール細胞ではApical側に投与したLucifer YelIowが膜を透過せず、タイトジャンクションの形成が確認できたものの、ノックダウン株ではLucifer Yellowが膜を透過し、Basal側へ移行した。このことから、プロサポシンノックダウンCaco-2細胞株では、タイトジャンクション形成がなされていないと考えられる。 以上の結果より、Caco-2細胞のプロサポシンは小腸のタイトジャンクション形成に必要不可欠な蛋白質であることが明らかとなった。
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