2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌・ウイルス感染と運動パフォーマンス低下との関連性についての応用研究
Project/Area Number |
21500700
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
矢野 博己 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療技術学部, 准教授 (20248272)
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Keywords | 病原体関連分子 / TLRs / マクロファージ / サイトカイン / マウス / 自発運動 / R-848 / フラジェリン |
Research Abstract |
本年度は、細菌およびウイルス感染初期の病原体分子を認識するTbll様受容体(TLRs)と身体活動性の低下との関連性について検討を行うことを目的として研究を実施した。C3H/HeNマウスを使用し、病原体関連分子投与前後の自発運動量の変化を評価した。細菌関連分子として使用したリポポリサッカライド(TLR4のリガンド)、およびフラジェリン(TLR5のリガンド)では、著しい身体活動性の低下が観察された。一方、ペプチドグリカン(TLR2のリガンド)を用いた際には、身体活動性の低下は観察されなかった。さらにウイルス関連分子として用いたTLR3のリガンドであるpolyI : C、およびTLR7/TLR8に認識されるR-848を用いた場合には、投与量に依存した有意な身体活動性の低下が観察された。しかしながら、TLR9に認識されるCpGDNA投与は、高濃度投与によってのみ、わずかな低下が観察された。 さらに、これら身体活動性の変化に及ぼす影響について、血中サイトカイン動態から評価を行った。炎症性サイトカインTNF-α、および抗ウイルス性サイトカインIFN-α/βが、TLRsの種々のリガンドによって誘導されることが示された。しかしながら、TNF-α阻害剤ペントキシフェリン、および抗ウイルス性サイトカインIFN-α、およびIFN-β、それぞれの中和抗体を投与した場合でも、種々のTLRリガンドによって誘導された身体活動性低下は抑制されないことが明らかとなった。 以上の結果から、病原体分子認識に関与するTLRsに認識されるリガンドによって身体活動性低下の違いが生じることが明らかとなり、また、それらの感染初期の運動パフォーマンスの低下機序に、炎症性サイトカイン、および抗ウイルス性サイトカインの関与は小さいものと考えられる。
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Research Products
(3 results)