2009 Fiscal Year Annual Research Report
心疾患の危険因子である高トリグリセリド血症の網羅的成因解析システムの開発と応用
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21500702
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
高木 敦子 National Cardiovascular Center Research Institute, 薬理部, 室長 (90179416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 康行 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (90176107)
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Keywords | 高トリグリセリド血症 / リポ蛋白リパーゼ / 動脈硬化 / 心疾患 / 自己免疫性疾患 / 全身性エリテマトーデス |
Research Abstract |
【目的】心疾患の危険因子の一つである高トリグリセリド(TG)血症の成因を網羅的に解析できるシステムの構築を目的とする。とくに、血清TG分解の主酵素であるリポ蛋白リパーゼ(LPL)蛋白が低値(LPL正常値の50%以下)を示す場合、確定されたLPL遺伝子異常に環境危険因子が負荷し、高TG血症となるが、LPL蛋白低値にもかかわらず、従来法によりLPL遺伝子に変異が見つからないケースに注目する。 【成果】 (1)LPL遺伝子自体に変異がある場合:(1-1)大きな欠損や付加変異の存在の検討。我々が見いだしたLPL遺伝子5'上流からイントロン1の途中を含む約54kb欠失変異について、簡便に検出する系を構築し、高TG血症者90名で、その変異の有無を調べたが、見いだされなかった。 (1-2)高TG血症者から、新規変異として、S193R変異を見いだした。 (2)LPL遺伝子自体には変異がない場合:自己免疫性疾患の一種で全身性エリテマトーデス患者を経験した。患者は血清TG値が10,000mg/dl以上の高TG血症を呈しており、LPL活性および蛋白とも検出できなかった。患者のLPL遺伝子は正常であったので、LPLに対する自己抗体ができているものと考えられた。LPLに対する自己抗体検出のためのウエスタン法のシステムを構築し、調べた結果、LPLに対する自己抗体が産生されたために高TG血症を呈したことがわかった。なお、血清TG水解に関わるもう一つの酵素である肝性トリグリセリドリパーゼに対する自己抗体は産生していなかった。
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[Journal Article]2009
Author(s)
高木敦子、池田康行
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Journal Title
広範囲 血液・尿化学検査 免疫学的検査-その数値をどう読むか[第7版]IV.生化学的検査[2]A.脂質関係 日本臨床67巻 増刊号(リポ蛋白質リパーゼ(LPL)・肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL).)
Pages: 443-450(部分執筆)
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