2011 Fiscal Year Annual Research Report
心疾患の危険因子である高トリグリセリド血症の網羅的成因解析システムの開発と応用
Project/Area Number |
21500702
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Research Institution | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
Principal Investigator |
高木 敦子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子薬理部, 室長 (90179416)
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Keywords | 高トリグリセリド血症 / リポ蛋白リパーゼ / 動脈硬化 / 心疾患 / 自己免疫性疾患 / 全身性エリテマトーデス |
Research Abstract |
【目的】心疾患の危険因子の一つである高トリグリセリド(TG)血症の成因を網羅的に解析できるシステムの構築を目的とする。おもに、血清TG値は、TG分解の主酵素であるリポ蛋白リパーゼ(LPL)量によって調節されている。LPL遺伝子異常(ヘテロ型)に伴うLPL蛋白が低値(LPL正常値の50%以下)を示す場合、肝臓の内因性TG合成を促進する環境危険因子の負荷により、対象者は中程度の高TG血症になる。しかし、LPL蛋白低値にもかかわらず、LPL遺伝子に変異が見つからないケースに関して、その高TG血症の病因解明を試みた。 【成果】自己免疫疾患の一種である全身性エリテマトーデス(SLE)患者において、強度の高TG血症(10,000mg/dl:正常値の60倍以上)を経験した。本患者のLPL活性およびLPL蛋白は、検出できないほど低値であったが、LPL遺伝子自体には異常が認められなかった。患者は、SLEの治療により血清TG値が正常になった。患者の治療前後の血漿中に存在するLPL活性阻害因子をLPL活性測定系において解析したところ、治療前の血漿は、LPL活性を強く阻害するが、治療過程において、この阻害活性は、消失した。このLPL活性測定結果は、SLE患者の治療後の正脂血化を良く説明できる。LPLに対する自己抗体の有無をウエスタン法にて解析した結果、LPLに対する自己抗体として-IgA型が最も強く検出されたが、この自己抗体(抗ヒトLPL-IgA抗体)は、治療後、正脂血化した患者血症でも、治療前と同程度の濃さのバンドとして検出された。この患者において、LPL活性を抑制して、高TG血症を引き起こした真の原因は明らかにできていないが、自己免疫疾患その他LPL阻害物質を産生することによって引き起こされる高TG血症の診断には、従来のウエスタン法では不適切であることが明らかになった。臨床的に意味のあるLPL阻害物質検出法は、LPLのTG分解活性を抑制するか、否かを調べる方法が適切であることがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Hypertriglyceridemia (HTG) caused by autoantibodies to lipoprotein lipase (LPL) in a patient with systemic lupus erythematosus (SLE)2011
Author(s)
Atsuko Takagi, Yasuyuki Ikeda, Mariko Araki, Taku Morita, Masayuki Ishihara, Manabu Matsumoto, Hisashi Takasugi, Akihiko Maeda, Takanori Abe, Mikiya Fujieda, Hiroshi Wakiguchi
Organizer
第43回日本動脈硬化学会大会
Place of Presentation
札幌・ロイトンホテル
Year and Date
2011-07-16