2009 Fiscal Year Annual Research Report
家族経営協定締結事例にみる親世代・子世代の共同と分離
Project/Area Number |
21500713
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Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
大友 由紀子 Jumonji University, 社会情報学部, 准教授 (00286121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 マサエ 山梨県立大学, 国際政策学部, 教授 (50105970)
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Keywords | 家族経営協定 / 世代間関係 / 夫婦家族制 / 直系家族制 / 世代継承 |
Research Abstract |
家族経営農業における家族員相互のパートナーシップ経営をめざして、1995年から家族経営協定が普及推進されている。普及推進から15年以上が経過し、次世代への経営継承にむけた家族経営協定の役割が期待される。家族農業経営においては、農業経営の世代継承を要件とし、親世代と子世代との共同が求められる。しかし、わが国の家族形成理念は、すでに直系家族制から夫婦家族制へと移行し、家族生活においては、親世代と子世代との分離が予想される。本研究の目的は、家族経営協定締結事例より、農家生活における親世代と子世代の世代関係の変化、それぞれのライフコースの世代変化を実証的に把握し、夫婦家族制における世代継承のあり方を考察することにある。 これまで家族経営協定締結事例は、普及を推進してきた地方農業改良普及センターはじめ都道府県や地方農政局を通して特定することができた。しかし、2004年の農業改良助長法改正、2005年からの強い農業づくり交付金によって普及体制が変わり、それが困難になったことが、岩手県、愛知県、熊本県でのヒアリング調査から明らかになった。そこで、日本農業新聞で1995年以降に掲載された家族経営協定の事例をデータベースにしてまとめ、先行研究で紹介されている事例と照合して、家族経営協定普及推進のモデル的な地域とみなすことができる岩手県水沢地方、愛知県刈谷市・岡崎市、熊本県玉名市において、家族経営協定締結事例の個別インタビュー調査を実施した。また岩手県水沢地方では、水沢地方農業担い手女性塾のメンバーを対象にグループインタビューを実施した。これらのインタビュー調査によって、長寿化によって世代交代のタイミングが遅れる傾向にある中、引退後の親世代の自立と生きがい、子世代の早期の独立をめざした、新しい世代関係の事例を確認することができた。
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