2009 Fiscal Year Annual Research Report
準限界集落の高齢者生活を支える"家族を超えた「家族的関係」"の模索と創造
Project/Area Number |
21500716
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Research Institution | Den-en Chofu University |
Principal Investigator |
佐藤 宏子 Den-en Chofu University, 人間福祉学部, 教授 (60165818)
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Keywords | 農村家族 / 準限界集落 / 高齢者生活 / 近隣関係 / 親族関係 / 家族関係 / 老後意識 / ネットワーク |
Research Abstract |
日本三大玉露の生産地、静岡県藤枝市岡部町朝比奈地域(元志太郡岡部町)において1982年から2005年までの間に実施した8つの既存調査データを用いて、世帯構成の変化、老後意識の変化後継ぎの結婚難の実態、農業従事者の変化、大正・昭和ヒトケタ生まれ/昭和10年代生まれ/昭和20年代生まれの3つのコーホート別のライフコース、情緒関係の主観的認知の変化などについて、詳細な分析を行った。本分析によって、70年代、80年代は茶生産の隆盛期であり、直系制家族規範が強固であったが、93年には茶生産が停滞し兼業化が進み、嫁不足問題が発生していること、2005年には茶生産が衰退し、日常生活圏の拡大、直系家族の再生産の停滞、介護問題の顕在化などが明らかになった。 また、『農業センサス』『世界農業センサス』を用いて、本研究の調査対象地となる青羽根集落の人口動態、世帯変動、農家率、農業就業人口、基幹農業従事者の年齢構成、経営耕地面積や茶栽培面積などの変化を分析した。これによって、調査対象地域の地域変容と家族変動を概観することができた。 さらに、岡部町青羽根地域の3つの集落のグループインタビューを実施した。グループインタビューでは、高齢者の生活構造の変化、茶の収穫方法が手作業の「茶刈鎌」から電動の「二人刈り」へ変化することによって夫婦関係に変化がみられたこと、茶園のある山へ行く道が整備されたことや製茶工場が平成11年に完成したことによって、住民の生活構造に変化がみられたこと、後継者が他出したため、高齢者は農業就労から引退することができず、健康状態が思わしくない者も現役農業者であり続け、対象者たちの親世代がすごしたゲートボールや旅行を楽しむといった引退後のステージへ移行することができない実態が明らかになった。
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Research Products
(1 results)