2010 Fiscal Year Annual Research Report
準限界集落の高齢者生活を支える"家族を超えた「家族的関係」"の模索と創造
Project/Area Number |
21500716
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
佐藤 宏子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60165818)
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Keywords | 高齢者生活 / ソーシャルネットワーク / 韓国の高齢者 / ベトナム家族 / 親子関係 / 近隣関係 / 友人関係 / 家族的関係 |
Research Abstract |
平成22年度は、本研究3か年間の2年目に当たり、高齢者の安定的な生活を支える「家族を超えたサポートネットワーク」の実態を把握することを目的として、静岡県藤枝市岡部町朝比奈地域の青羽根地区、ハノイ近郊、釜山市ギザン郡において事例調査を実施した。 まず、岡部町朝比奈地域では13人の事例調査を実施した。この事例調査から、次の点が明らかになった。まず、本地域では、農業就業人口の高齢化、高齢夫婦のみ世帯が激増するなかで、年間を通して最高級茶の栽培に最新の注意をはらい、年々進化する栽培技術を習得して、静岡県下最高単価額の茶を生産し続けている。対象者にとって最高品質の茶を生産することが生きがいでもある。しかし、高齢化や過疎化によって、手間のかかる良質な茶を栽培することはもとより、現在の日常生活を維持することさえ徐々に難しくなっている。こうした現状に強い危機感を感じている対象者のなかには、個々人の家族を超えた「家族的関係」を模索する者が現れている。しかし、本地域は伝統的に直系家族制規範意識が強固であり、対象者たちは老年期を住み慣れた本地域で暮らし続けたいと考えながらも、個々の家族を超えた「家族的関係」をイメージすることや長年の生活基盤としてきた「家族依存型」ライフスタイルを変更することは容易ではないことなどが明らかになった。 そこで、儒教による父系原理が有力であり、近代化、産業化の途上にあるベトナム、わが国と同様に儒教文化圏で家族制度も直系家族制度である韓国において、高齢者が日常的に保有するネットワークの実態、高齢者の生活保障に家族、親族、近隣の人々や友人たちが果たす役割、公的機関や宗教団体によるネットワーク形成拠点としての機能などについて事例調査を実施し、家族変容が生じるなかで高齢者自身が豊かなネットワークを形成している実態を明らかにした。
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Research Products
(2 results)