2011 Fiscal Year Annual Research Report
準限界集落の高齢者生活を支える"家族を超えた「家族的関係」"の模索と創造
Project/Area Number |
21500716
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
佐藤 宏子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (60165818)
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Keywords | 高齢者のWell-being / 家族 / 韓国の高齢者 / 老人福祉館 / 生きがい / 地域福祉事業 / 高齢者の社会参加 / ソーシャルネットワーク |
Research Abstract |
平成23年度は、本研究の3か年間の最終年度に当たる。今年度は、まず第1に静岡県藤枝市岡部町朝比奈地区の青羽根集落と日向集落において実施した高齢者のインタビュー調査の結果分析を行った。この結果、世帯単位の茶栽培・茶生産体制、地域人口および農業就業人口の高齢化、「しがらみ連帯」などによる伝統的な家族・社会関係が、新たな「つながり」の創造・模索を阻み、高齢者のWell-beingの向上を困難にしている実態が明らかになった。また第2に、日本と同じ儒教文化圏に属し、家族制度が直系家族制である韓国において2回目の調査を5月1~7日に、釜山市郊外の機張郡老人福祉館で実施した。対象者は、第1回調査と同じ対象者25人である。第2回調査では、韓国高齢者の経済生活の実態を詳細に把握するとともに、「地域福祉事業」の一環として整備・推進されている「老人福祉館」が、地域社会の在宅高齢者に対するサーポート拠点としてどのような事業を展開しているか、「老人福祉館」の利用が、高齢者の新たなライフスタイルを形成し、彼らのWell-beingの向上を促しているかについて分析、検討した。この結果、「老人福祉館」が「地域高齢者の交流拠点」としての役割を果たしており、高齢者たちに「毎日身だしなみを整えて外出する機会」を与えていること、高齢者は「老人福祉館」の教育支援事業で学習する楽しさ、友人と交流する楽しさ、生きがいを得ていること、利用料が安価であるため低所得の高齢者でも毎日利用できること、雇用支援事業が高齢者の住み慣れた地域での仕事を紹介することによって、高齢者の経済生活の安定を支援していること、健康支援事業が健康増進・疾病予防・介護予防を推進し、社会参加事業がボランティア活動への参加を通して高齢者の社会参加を活発化し、高齢者の地域貢献を促していることが明らかになった。「老人福祉館」の利用は「生き生きした生活ができるようになった」「生きがいができた」「人間らしい生活ができるようになった」など高齢者のWell-beingを向上させている。
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Research Products
(7 results)