2009 Fiscal Year Annual Research Report
中高年者の「お墓」観-成人期後期以降のライフ・イベント-
Project/Area Number |
21500717
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Research Institution | Tokyo Fuji University |
Principal Investigator |
伊波 和恵 Tokyo Fuji University, 経営学部, 准教授 (90296294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 智章 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (00329103)
篠崎 香織 東京富士大学, 経営学部, 准教授 (50362017)
下垣 光 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (30287792)
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Keywords | お墓 / 中高年 / ライフスタイル / QOL / 死生観 |
Research Abstract |
われわれは、直接的ではなく間接的に"死"への態度を把握できるような調査方法の開発を目標として、"お墓"に注目した。すなわち、中高年者を対象に、死生観とライフ・イベントとしての"お墓"をめぐる意思決定との関連を調査することにより、現状では把握しづらい日本人の死生観に対する測定アプローチを検討、構築することを目的としている。これは、ひいては高齢者のQOL向上のインフラ提供につなげうると想定している。 これまで、われわれは調査を通じて、対象の中高年者の過半数が"お墓"が必要と感じ、すでに入る"お墓"を決めていること、「"お墓"は先祖や子孫との接点、または死後自分が落ち着くところ」といったイメージを有していることを確認してきた。また、"お墓"が"死"に対する不安を払拭している可能性も示唆されてきた。 これらの知見を踏まえて、直接的ではなく間接的に"死"への態度を把握できるような調査方法の開発という目標を達成するために、より規模の大きいサンプルでの質問紙調査およびインタビュー調査を企図する。 平成21年度は、以下のとおり、過去の質問紙調査の整理をし、調査研究の準備を行った:(1)高齢期の親子関係(家族観)と死生観に関する文献レビュー(お墓の選択、死生観の形成、精神的健康(QOL)の維持・向上との関連を結びつける理論的根拠についての考察、調査に含める事項の再検討)、(2)質問紙調査の実施・分析(前年度調査結果を対象とした、心理学的、社会学的、経済学的要因についての再分析)、(3)ヒアリング調査の準備((1)のレビューを踏まえた要因整理)。 この結果、経済学的視点から"お墓"(購入)には本来期待される経費に無形価値、すなわち、心理的価値が加算されている可能性が、心理学的視点からは"お墓"の有無と心理的安定感ならびに死の受容との関連性が、社会学的視点からは、"お墓"をめぐって家族観の再形成がなされることが、それぞれ示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
伊波和恵
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Journal Title
老年期-人生の振り返り-(藤村宣之(編著)発達心理学-周りの世界とかかわりながら人はいかに育つか-)(ミネルヴァ書房)
Pages: 185-205
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