2011 Fiscal Year Annual Research Report
消費者による協同組合運動の大規模化・広域化に関する日・英比較研究
Project/Area Number |
21500721
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
杉本 貴志 関西大学, 商学部, 教授 (90319608)
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Keywords | 協同組合 / 生協 |
Research Abstract |
日本とイギリスにおける生活協同組合の歴史と現状について、大規模化と連合化という側面を中心に調査・研究・考察を行うことが本研究のテーマであるが、研究最終年度である2011年度には、理論的研究と実地調査によって以下のような成果を得た。 (1)大規模化と連合化=二重権力化が、協同組合における民主的なガバナンスに対して与える影響について、ステークホルダー協同組合論の立場から理論的な検討作業を行い、その成果をいくつかの論稿にまとめ、投稿した。そのなかでは、現代の大規模化した協同組合は組合員という中心的ステークホルダーのガバナンスへの参画が物理的に困難となっているという問題を抱えるだけでなく、その連合組織や子会社組織において、ガバナンスへの組合員参加の道がほとんど閉ざされた構造をつくりだしていることを論じている。 (2)そしてそれはガバナンスのみならず、組合員の参画型事業という点でも問題を孕んでいることを、内外の生協についての現地調査に基づき、指摘した。協同組合は本来、事業を通じて運動の目標を追求しようという組織であり、たとえば現在ヨーロッパ諸国において展開されている倫理的消費の運動は、生活協同組合にとってまさに真骨頂ともいえる事業活動である。大規模連合化時代の生協がいかにこうした事業に取り組むかを、ステークホルダー論と絡めて論じることができた。
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Research Products
(5 results)