2011 Fiscal Year Annual Research Report
徳島県上勝町における高齢者の生きがいを支える健康と経済基盤
Project/Area Number |
21500723
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Research Institution | Osaka Aoyama University |
Principal Investigator |
山口 静枝 大阪青山大学, 健康科学部, 教授 (20123531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 新介 大阪大学, 経済研究所, 教授 (70184421)
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Keywords | 高齢者 / 生きがい感 / 経済基盤 / ロジスティック解析 / QOL / 健康感 |
Research Abstract |
高齢者人口の増加にともない,日本の人口構成比における高齢者割合は増加の一途である.このような社会においては,高齢者自身が生き生きと元気に暮らす社会システムの構築が求められる.そこで,現在の高齢化率が49%という徳島県上勝町に在住する65歳以上の高齢者を対象として,生きがい感に関連する種々の要因を分析した.分析対象者は,176名(男性29%,女性71%),平均年齢75.4±6.9歳であった. 平成21年度末,市町村別第1号被保険者に占める要介護認定者の全国平均16.2%に対して,上勝町のそれは25.2%であり,全国平均に比べ高値であった.しかし,対象者の老研式活動能力指標の平均得点は11.4±2.1で,全国代表サンプル(65歳以上)の10.8±3.0よりも高値であり,対象者の自立度は高いことがうかがえる.また,年に数回程度の頻度も含めて有償労働に関与している割合は59.7%であった.有償労働者の週当たりの労働日数で最も多かったのは7日(18.8%),1日あたりの労働時間は5時間(13.6%)と8時間(12.5%)が多くを占め,有償労働者の実働時間が長いことがわかった。有償労働を行う主な理由では,「収入を得るため」が最も多く20%,次いで「ずっと仕事をしていたい」9.7%であった.生きがい感を従属変数としたロジスティック解析を行ったところ,「神さまを信じている」,「日常生活で喜ばれることがある」,「孤独感が少ない」,「貯蓄高が多い」の4因子が生きがい感を高める要因であることが明らかになった.身体計測では,女性の40%がBMI25.0以上に分類され,骨量判定区分で「少ない」と判定された者は女性の48.4%であった.収縮期血圧高値の割合は,男性42%,女性35%みられるものの,血液性状では問題点は少なかった. このように,高齢化率の非常に高い地域における高齢者において,長年の経験を生かした仕事を継続できる環境があることは,生きがいをもち自立した生活の構築につながることが示唆された.
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