2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域子育て支援拠点事業専従保育士の業務分析に関する研究
Project/Area Number |
21500724
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
橋本 真紀 関西学院大学, 教育学部, 准教授 (50368495)
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Keywords | 地域子育て支援拠点事業 / 専従保育士 / 業務分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域子育て支援における保育士の専門性の検討を指向しつつ、地域子育て支援拠点事業専従保育士の業務に関する量的、質的調査、及びその分析を行うことにある。2011年度は、2009年度に実施した質問紙調査、及び2010年度に実施したヒアリング調査結果の分析を行った。 量的調査の分析では、地域支援活動を積極的に実施する拠点事業の業務傾向を捉えた。地域支援活動に関連する21項目の因子分析の結果、把握された地域支援活動の具体的業務は、「専門職との共催」「地域住民との連携」「社会資源への橋渡し」「地域への情報発信」「日常における関係構築」の5つであった。5つの業務の因子得点を用いて高群と低群に分類し、地域支援活動の高群、低群と他項目の関連を把握した。結果、「ひろば対応業務」は、高群、低群共に積極的に実施されていた。ただし高群では、「ひろば対応業務」を含む多様な業務において「つなぐ」ことが意識される傾向が把握された。さらに高群は、ボランティアの受け入れ、活動の準備、他機関との連絡調整を含め間接援助を積極的に行い、多様な活動の展開において慎重に吟味し、準備する様子がうかがえた。高群と低群に共通して、困難事例への対応、アウトリーチによる相談業務の実施は少なかったが、高群では、個別援助事例の他機関との連携が重視されていた。保育業務に関しては、両群に差が認められずあまり重視されていない傾向が把握された。 質的調査では、地域支援活動を意識的に実施し、かつ調査協力に了解が得られた拠点事業センター型の従事者を対象とした。結果、「業務の認識」として、業務における支援意識、業務において意識される働き、業務遂行における課題が把握された。また、「地域の資源とともに取り組んだ実践事例」の分析結果からは、本人や当事者に相応しいサポート体制や地域の資源を本人や当事者を主体者としながら地域の中に創出していくことが、地域支援活動の内実であると捉えられた。カテゴリとしては、「支援姿勢」「本人を含む支援システムの形成」「地域における資源創出」の3つが生成された。
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