2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500726
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
谷村 雅子 National Research Institute for Child Health and Development, 成育社会医学研究部, 部長 (90014191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大熊 加奈子 国立成育医療センター(研究所), 成育社会医学研究部, 流動研究員 (00399487)
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Keywords | 乳幼児 / 親子関係 / IT / 生活時間 / 発達 |
Research Abstract |
近年、乳幼児の言語・社会性の発達の遅延化が報告され、対人経験の減少が懸念されている。その一因として、IT機器の普及により乳児期早期から親の子どもへの声かけが減少していることが予想される。本研究は、乳児期早期からの声かけ、子どもと親のIT接触の実態を把握し、発達、子どもの親への信頼感、親子関係への影響を疫学的に把握し、IT機器の適切な利用方法を提言することを目的として、IT接触状況を含む親子の生活時間や養育環境・声かけと発達に関する無記名自記式質問紙調査を、4ヶ月健診対象児を対象として行い、更に、11ヶ月時に追跡調査を行っている。3月末までに、4ヶ月児367名、11ヶ月児148名についての回答が得られ(回収率はそれぞれ82.7%と62.2%)、下記の結果が示された。 4ヶ月時に子どもに見せるためにTV(テレビ・ビデオ・DVD)を付けている家庭は23.7%に過ぎなかったが、子どもの近くでTVがついている時間は平均3.6時間で、TVが付いていると子どもの92.8%はちらっと、またはじっと見ることがあると回答されていた。また、授乳中にTVや携帯を使用することがある母親はそれぞれ75.1%、51.1%に及び、これらの家庭では授乳中に子どもの様子を見る率が有意に低く、また、母や父のTV視聴時間や子どもの近くのTVがついている時間、母の携帯の送信頻度が有意に高かった。授乳中にTVを付ける家庭の子どもは付けない家庭の子どもに較べて、4ヶ月時では授乳中に目が合わない率が有意に高く、授乳中に周囲を見たり声を出して遊ぶ率が低い傾向がみられた。11ヶ月時では、親に見せたい物をもってくる、TV視聴時に共感を求める、視聴時に質問する、画面の人に声をかける率が低い傾向がみられた。 上記のように、乳児期早期からの家庭のメディア使用と子どもへの視線の減少、子どもの親やヒトへの信頼感や関心の低下の傾向が懸念されるため、他地区での確認のため、次年度に他地区でも調査を行うことにした。
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