2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500732
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
安永 秀計 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (80241298)
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Keywords | 生活素材 / 染毛科学 / 天然由来物質 / ヘアカラーリング / カテキン / 酵素 / 人体に安全 / 染色 |
Research Abstract |
本研究では、人体への負荷が小さく安全な染毛法の創製を目指し、天然由来物質を原料として酵素反応や電気化学反応などを用いて新しい染毛用染料の合成を試みた。その結果、フラボノイドの一種であるカテキンをチロシナーゼで処理することにより、黄~橙~茶系色の色素が得られ、この色素によって毛髪が染色できることを明らかにした。得られる染料分子のキャラクタリゼーションの結果、色素はカテキンのo-フェノール水酸基がケトン基に変化した構造をもつことがわかり、この物質をカテキノンと命名した。また、酵素反応時に直流定電圧を印加するとカテキノンの生成速度と収率が上昇することがわかった。そして、その機構に酸素が重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、この染料は皮膚刺激性をもたず、一般に用いられている酸化染毛剤に比べて安全性が高いことがわかった。この染料の染毛性に関して、洗髪堅ろう度・耐光堅ろう度ともに酸化染毛剤と同程度に高く、他の天然由来物質組み合わせることにより多彩な色調の染色毛髪が得られる。 以上の結果から、本研究で得られた色素は、希求されている安全な染毛に用いることのできる可能性が高いと予想される。さらに、染料生成機構を解析してより効率的な合成条件を見つけ、染色困難な人毛に対する有効な染毛法を開発すれば、かぶれやアレルギーなどの問題が起こっている染毛剤使用者が用いることのできる新しい染毛法が生み出されると考えられる。本年度の研究成果は、より人体に安全で環境にやさしい新規染毛法の創製と新しい染毛科学の開拓につながるという意義をもつ。
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[Journal Article]2009
Author(s)
KUROKI, Shigeki
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Journal Title
Nuclear Magnetic Resonance 38(Royal Society of Chemistry)
Pages: 94-165
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