2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後の家庭用電化製品と食卓の使用実態と変遷に関する研究
Project/Area Number |
21500734
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石村 真一 Kyushu University, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (20294994)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林原 泰子 九州大学, 総合研究博物館, 研究員 (40532362)
|
Keywords | 家庭用電化製品 / 食卓 / 映画 / 台所 / ダイニングルーム / 居間 / 起居様式 / DVD |
Research Abstract |
本研究は戦後に製作された日本の映画を通して、家庭電化製品および食卓の変遷と今後の展望を導き出すことを主たる目的する。日本の家電製品はアメリカの影響を強く受けており、平成21年度の研究は、二つの内容で行った。一つはアメリカにおける家電の使用実態と今日に至る歴史をフィールド調査によって明らかにするというもので、電気洗濯機にターゲットをしぼって実施した。もう一つは、アメリカの家電と食事文化を基礎としながらも、日本の映画の中に登場する家電と食卓を摘出し、時系列に整理しながら、時代の持つ特徴を抽出した。後者の映画については約300本のVHS、CDを購入し、大学院生に謝金を支払って統計処理による解析を補助してもらった。 映画は演出を施して生活場面を構築しているので、記録映画で内限り、一次資料ではない。しかしながら、その時代の家庭生活を精緻に表現するという目的を持っていることから、一次資料に近い価値を持っている場面も少なくない。特に1940年代後半から1970年代という極めて生活用具に関して変化の激しい時代の映画は、アーカイブスとしての価値を持っている。また、映画は都会、地方と地域の異なる生活場面があるため、その時代が持つ地域格差を知る手掛かりを持っている。 平成21年度は、とりわけ食卓の変化を特に重視して研究に取り組んだ。これまで主張されてきた「床坐回帰現象」「洋室床坐」の出現と発達が、食卓の変遷に大きく関わっていることを明らかにした。また、椅子座についても現在普及しているカンチレバーのダイニングチェアの発達過程を映画の場面から読み取ることができた。 しかしながら、平成21年度に購入した映画は300程度あり、仮に1年間の映画を10本と想定すれば、戦後65年を650本の映画で考察しない限り、統計的には偏りが生じる。VHS、CDの映画は、必ずしも戦後の各時代を網羅しているとは限らない。次年度は、この映画の選定を均一化させることが課題となる。
|
Research Products
(5 results)