2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500743
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Research Institution | Kyoto Notre Dame University |
Principal Investigator |
中村 久美 京都ノートルダム女子大学, 生活福祉文化学部, 教授 (80240860)
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Keywords | 生活管理 / 収納空間 / 住み方 / 納戸 / 集合住宅 |
Research Abstract |
本研究は、住宅計画における古くて新しい収納の問題を、生活管理の視点から検証することで、収納、管理行為と対応する空間による望ましい収納様式の構築を考えるものである。これまでに戸建住宅において持ちモノの見直しや生活規範の設定などの生活管理的行為と、集中収納空間の使いこなしによる収納様式の確立が重要であると指摘してきた。23年度は、収納空間の制約が厳しい集合住宅において、住宅内に増えていくモノへの保有管理も含めた収納様式のあり方を、実態の検証から探った。 研究方法は、京都市内の公団の分譲集合住宅団地において、供給時に3LDKの間取りの住戸を対象にした質問紙調査である。調査期間は2011年5月30日~6月11日。有効票163を得た。それにより得た研究成果は次のとおりである。 納戸を設置している世帯は、分譲時に計画されていたケースを含み54世帯(33.2%)で、戸建住宅に比べ設置率は低い。その使い方をみると、日用品、非日常品、衣類、不用品など多様な品目をまとめる複合的な使い方をしている割合が戸建住宅に比べ多く、各室の収納空間の制約を納戸で受け止めている様子がうかがえる。持ち物の見直しなどのモノに関わる生活管理の状況は戸建住宅と変わらない。納戸を保有し、定期的な見直しをしている世帯の空間秩序や収納に対する総合評価は高く、集中収納空間と生活管理による収納様式の構築は集合住宅においても求められる。ただし間取りの制約がある集合住宅の問題として、収納空間の絶対量の不足、衣類や書籍など住宅内に増えていくものの処遇の問題が指摘され、実際に「実家」など住宅外に収納空間が拡散している実態が判明した。衣類や書籍などについては、保有の「節制」のほか社会サービスを利用して保有を調整する状況が明らかになった。集住のメリットを活かしたモノの共有、循環のシステムへの一定の要望もあることからも、外部の協同システムやサービスを視野にいれた収納様式の検討が望まれる。
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Research Products
(4 results)