2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドメスティック・バイオレンス被害女性のためのシェルターの空間改善に関する研究
Project/Area Number |
21500744
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
上野 勝代 Kobe Women's University, 家政学部, 教授 (90046508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛西 リサ 大阪市立大学, 都市研究プラザ, GCOE研究員 (60452504)
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / シェルター / デンマーク / 女性政策 |
Research Abstract |
本年度の研究としては、当初の計画どおりのデンマーク調査を実施した。 調査時期は、2009年9月、2010年3月である。ケース数は首都コペンハーゲン市ならびに近郊の基礎自治体に所在する4件である。その結果次のことがわかった。 シェルターは民間団体の女性団体や福祉団体によって設立されたものがほとんどであるが、基本的には補助金でほぼ運営資金がまかなわれている。スタッフはフルタイム雇用者が基本であるが、多くはソシャルアドバイザーの有資格者が支援にあたる。入居費用は月約4万円であるが、支払い能力がない場合には手当てが支給される。入居期間は原則として3ヶ月であるが、この期間はケースバイケースで決められる。自立支援策は基本的には基礎自治体の専門家が行い、住宅確保や職業、こどもの教育などの支援を行う。政府によるDV政策は2002年の行動計画にはじまり、2005年にも引き続き策定され、その効果は大きく、DV被害者数が大幅に減ったと評価されている。また、子どもへのケアや予防、加害者への教育、国籍の違うマイノリティ女性への対策が強化された。シェルターの空間的特徴としては、(1)所在地の公表・・シェルターの所在地は原則公表されている。必要とされる女性たちにわかるようにという認識からである。安全性の確保は匿名性ではなく、防御が大事と考えている。(2)建物は新築ではなく、古い住宅や施設をリフォームして使用。(3)空間の基準は特別に設定されてはないが、1家族に個室は当然のことであり、こどもの年齢が高いと別に個室を確保する。(4)安全確保のために玄関、居室や事務室、階段やエレベーターなどの配置が工夫されている。(5)小規模なシェルターが多い。(6)子どものための空間が室内、屋外にも用意されている。(7)共同のリビングがある。(8)家具やインテリアとしては温かみのあるものが選ばれ、家具購入のために独立したファンドから資金援助を受けることができる。
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