2011 Fiscal Year Annual Research Report
インジゴ染料染色物の染色条件・放置条件による色彩変化
Project/Area Number |
21500745
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
牛田 智 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (40176657)
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Keywords | インジゴ / 藍 / 染着状態 / 染色条件 / 光退色 |
Research Abstract |
インジゴ染色物の色彩は、染色条件で異ったり、放置によって変化する場合がある。これは、分子間水素結合を生じやすいインジゴ分子の会合状態や、染料分子の存在位置などの、染着状態の違いによると推測される。このような前提のもと、染色条件(染色時間)の違いによって、インジゴ染色綿布の光退色挙動がどう異なるかを検討した。 合成インジゴを用い、インジゴの量が多いほど染色時間を短く、少ないほど染色時間を長くして染色し、ほぼ同じ濃さのインジゴ染色布を作成し、ハンディーUVランプを用いて、短波長(254nm)および長波長(365nm)の紫外線を照射して光退色の進行を追跡した。 インジゴは、染着状態の違いにより、最大吸収波長が異なる場合がある。繊維の表面近くに染色されているインジゴと内部のそれとの最大吸収波長が異なるような場合、表面近くが優先的に分解退色することで、最大吸収波長のシフトが考えられたが、そのような現象は起こらず、原布の分光反射率曲線の形を保ちながら、最大吸収波長の値(約662nm)が変化すること無く退色が進行した。ほぼ同じ濃さに染まってはいるものの、染色時間の異なるインジゴ染色綿布に関して光退色の進行を比較したところ、長波長の紫外線照射の場合も、短波長の場合も、染色時間が短い染色布ほど、退色は速く進行した。その傾向は、短波長の紫外線照射の方が大きかった。これは、染色時間が短いほど、染料(インジゴ)が繊維の表面付近に存在しているため、酸素等の環境の影響を受けやすかったためと考えられる。
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