2009 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を適用した持続可能な衣服洗浄システムの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
21500746
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Research Institution | Kobe University of Fashion and Design |
Principal Investigator |
田川 由美子 Kobe University of Fashion and Design, ファッション造形学部, 准教授 (40207808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 景子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30243356)
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Keywords | 超音波洗浄 / 固体粒子汚れ / 超純水 / オゾン水 / 界面活性剤 / 洗浄性評価法 / キャビテーション / 二値化 |
Research Abstract |
本申請では、洗浄の機械力として超音波を利用した新たな衣服洗浄システム開発のための基礎的研究を行う。初年度は、超音波を用いた固体粒子汚れの洗浄現象を明らかにするため、画像二値化処理機能を利用した洗浄性評価法を確立し、洗浄基質-汚れ物質-洗浄液から成るモデル洗浄系を用いて洗浄実験を行った。モデル洗浄基質にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムおよび布(スパン織物)、モデル固体粒子汚れにはサブミクロン大のカーボンブラック粒子を用いた。洗浄液には、超純水およびオゾン水、またこれらに界面活性剤(SDS)や水酸化ナトリウムを添加した水溶液を使用した。粒子は粒子分散液中からフィルムおよび布に付着させた。粒子が付着した基質は、周波数変調式超音波洗浄機により音圧計で出力を監視しながら20分間の間接超音波洗浄をした。洗浄容器の設置位置およびPETフィルムの観察部位は、音圧法とアルミ箔法を用いて洗浄槽内および洗浄容器内のキャビテーションの発生の分布を調べて決めた。その結果、超音波出力が大きくなると洗浄率が増大して洗浄性と機械力のよい対応関係が認められ、アルカリ存在下では洗浄率はわずかに上昇した。このように得られた結果が一般的な知見と矛盾がないことから、二値化処理による洗浄性評価法の妥当性が示された。この評価法を用いて粒子脱離の経時変化を調べたところ、洗浄率は5分で平衡に達していることがわかった。また、フィルム基質ではSDSを添加すると洗浄率は減少し、布では洗浄効果が得られなかった。これらの結果は、SDS添加によりキャビテーション発生が低減したためと考えられ、固体粒子汚れの超音波洗浄ではキャビテーション発生による機械力をコントロールする必要があることがわかった。オゾン水での洗浄では、SDS添加による洗浄率の減少は認められず、他の機能水を含めて洗浄効果について今後更に検討を進める予定である。
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