2011 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な衣類洗浄へ向けた商業洗濯のライフサイクルアセスメント
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21500747
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Research Institution | Kyoritsu Women's Junior College |
Principal Investigator |
山口 庸子 共立女子短期大学, 生活科学科, 教授 (20201832)
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Keywords | クリーニング / ライフサイクルアセスメント(LCA) / 洗浄 / 温室効果ガス / Sustainability / 家庭洗濯 / ヒートポンプ |
Research Abstract |
商業洗濯では揮発性有機溶剤を用いたドライクリーニングと同様に、湯洗いを行うランドリーも広く利用されてきた。さらに、女性の社会進出あるいは単身者や高齢者世帯の増加に伴い、リネンサプライを含めてランドリーへの要求事項も変化した。実際に、グリーン購入法の2010年の見直しでは、判断基準にドレンの回収および再利用が加わり、配慮事項にはランドリー用水と洗剤の適正使用が追加されるなど、ランドリーの環境負荷削減に向けた要求も高まっている。本研究では、ワイシャツ(250g)を事例として、ランドリーのCO_2排出量の詳細を求め、家庭洗濯との比較から衣類洗浄の環境負荷削減策について検討した。家庭洗濯では、ヒートポンプユニットを搭載した日本のドラム式洗濯乾燥機(以下、ヒートポンプ式洗濯乾燥機)と200Vのヨーロッパのドラム式洗濯乾燥機(以下、ヨーロッパの洗濯乾燥機)を比較して、衣類の要素を含めたLCA分析を実施した。その結果、綿100%ワイシャツ1枚(250g)当たりに換算したランドリーのCO_2排出量は296g-CO_<2eq>であった。これに対して、アイロン仕上げを含めた家庭洗濯では、ヒートポンプ式洗濯乾燥機のCO_2排出量は98g-CO_<2eq>、ヨーロッパの洗濯乾燥機では120g-CO_<2eq>、この内アイロン仕上げのCO_2排出量は28g-CO_<2eq>であった。ランドリーのCO_2排出量は、家庭洗濯の約2~3倍であることが判明した。また、家庭洗濯ではポリエステル混紡(例えばC501P50)とすることで、乾燥および洗濯工程の消費電力量を大きく削減し、アイロン仕上げも不要な場合、ヒートポンプ式洗濯乾燥機のCO_2排出量は51g-CO_<2eq>、ヨーロッパの洗濯乾燥機では61g-CO_<2eq>であった。製造工程で消費するエネルギーはポリエステル>綿の関係にある。しかし、ワイシャツの耐久性はポリエステルを混紡することで大きく向上できた。衣類乾燥を恒常的に行う地域や乾燥工程の環境負荷が高いランドリーでは、ポリエステルの活用は環境負荷削減の有効な方法の一つと言える。
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Research Products
(4 results)