2009 Fiscal Year Annual Research Report
高温焼成で発生するタンパク質由来危害因子の軽減を目指した加熱調理の最適制御
Project/Area Number |
21500753
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
福岡 美香 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 准教授 (10240318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 昇 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (20134009)
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Keywords | タンパク質加熱変性 / 調理 / DSC / MRI |
Research Abstract |
食品の調理・加工は、伝熱、物質移動の進行に伴い素材内部の変化(反応)が同時に進行する系であり、危害因子の生成を制御しようとする場合、調理過程での工学的アプローチ(伝熱、物質移動、反応の同時解析手法)が不可欠である。特に、伝熱が最も速く進行する加熱媒体と接する食品表面では、内部に先行して伝熱、物質移動(特に水分移動)が進行する。対象とする試料が、タンパク質系食品である場合、常圧の環境においては、100℃までは、まず、タンパク質の加熱変性が起こる。よって、21年度は、まず、試料に蓄肉を用いて、タンパク質変性に関する速度解析を実施した。熱分析法(DSC法)により、主要筋肉タンパク質であるミオシン、アクチンの加熱変性に基づく吸熱ピークを観測し、非等温実験であるダイナミック法を用いて反応速度定数の温度依存性を決定した。これによって、伝熱の進行に伴うタンパク質の加熱変性の分布をシミュレーションすることが可能になった。さらに、NMRイメージング法でNMR横緩和時間(T2)マッピングを行った。あらかじめ、加熱処理による分布ができるだけ均一となるような、スライス試料を用いて、NMR横緩和時間を取得しておき、変性度とT2の相関式を決定した。この相関式を用いて、先に取得した温度分布が不均一な加熱処理したブロック試料のNMR横緩和時間(T2)マッピングから、タンパク質変性分布へと変換した.これにより,伝熱数学モデルに基づき計算された変性分布の検証を行った.また、これらタンパク質の変性によって、遊離アミノ酸であるグルタミン酸がドリップ内に溶出されることを別途、化学分析することで、明らかになった。今後は、タンパク質変性後の分解に関して、解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)