2010 Fiscal Year Annual Research Report
高温焼成で発生するタンパク質由来危害因子の軽減を目指した加熱調理の最適制御
Project/Area Number |
21500753
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
福岡 美香 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (10240318)
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Keywords | タンパク質加熱変性 / 加熱調理 / DSC / NMR / 伝熱 |
Research Abstract |
食品の調理・加工は、伝熱、物質移動の進行に伴い素材内部の変化(反応)が同時に進行する系であり、危害因子の生成を制御しようとする場合、調理過程での工学的アプローチ(伝熱、物質移動、反応の同時解析手法)が不可欠である。特に、伝熱が最も速く進行する加熱媒体と接する食品表面では、内部に先行して伝熱、物質移動(特に水分移動)が進行し、対象とする試料が、タンパク質系食品である場合、常圧の環境においては、100℃までは、まず、タンパク質の加熱変性が起こる。前年度において畜肉の加熱調理におけるタンパク質変性速度が明らかになったことから、伝熱解析とともにタンパク質変性進行度を計算で示し、NMR法を用いて変性状態を検証する手法をさらに進めた。さらに、前年度では、牛肉を試料として用いたが、当該年度では、豚肉および豚肉に塩(塩化ナトリウム)を添加した系における変性速度解析を実施した。塩の影響を受けて変性温度は低下し、変性速度も速くなるといった塩濃度依存性を定量的に整理することができた。さらに試料に魚肉を用いて、タンパク質変性に関する速度解析も実施した。畜肉と同様に魚肉においても主要タンパク質であるミオシンおよびアクチンの反応速度定数の温度依存性を得る事ができた。魚肉のタンパク質変性の進行は、脂質含量に影響を受けることが示唆された。 魚肉を試料に、赤外線ヒーターを用いた焼成実験における表面呈色変化を色彩計で計測し、タンパク質変性との関係、ならびに表面温度との関係を明らかにした。 焼成実験で生成される危害因子のHAs(ヘテロサイクリックアミン)は微量であることから、モニタリングする上では、遊離アミノ酸、クレアチン/クレアチニンなど前駆体とされている物質が適当であると考えられ、次年度は、これら物質に着目して、解析を准める予定である。
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Research Products
(3 results)