Research Abstract |
本研究では、通常用いられる米麹にAsp.nigerを加えて調製したセサムフラワ麹を用いて調製した味噌様発酵食品(セサムフラワ麹味噌)および米麹にセサムフラワを混入して調製した味噌様発酵食品(セサムフラワ味噌)の発酵熟成過程で生成する抗酸化性物質を同定するとともに,リグナン類およびイソフラボン類の定量を行い,3ケ月間の発酵熟成中の成分の変化について調べることを目的とした。対照として米麹味噌を調製した。 セサムフラワ麹味噌およびセサムフラワ味噌において,セサミン,セサモリン,セサミノールなどのリグナン類をLC-MS分析により同定した。セサミンおよびセサモリンの存在量とDPPHラジカル捕捉活性の挙動は必ずしも一致していなかった。また,イソフラボン類を同定,定量した結果,いずれの味噌もイソフラボン配糖体であるダイジン,ゲニスチン,グリシチンは,発酵熟成により減少しており,セサムフラワ麹味噌では,ほとんど残存しなかった。一方,ダイゼイン,ゲニステイン,グリシテインなどのアグリコンの存在量は,いずれの味噌も,発酵熟成後に増加しており,中でも,セサムフラワ麹味噌では著しく増加していた。発酵熟成の間に生成する成分の違いが,DPPHラジカル捕捉活性に影響を及ぼすと推定されるが,その寄与度については,今後さらに検討が必要である。 また,セサムフラワ麹味噌は,黒麹菌を使用しているため,やや明るさはなかったが,味については,対照の米麹味噌よりも濃く,うまみがあり,新たな機能性発酵食品としての可能性が示された。
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