2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500766
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小川 宣子 中部大学, 応用生物学部, 教授 (30139901)
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Keywords | 牛肉 / 鶏卵 / うま味 / アミノ酸組成 / 血中コレステロール |
Research Abstract |
本研究は、獣鳥類の種の違いに基づく食材の特性を明らかにし、その食材のより有効な利用方法、食べる人の身体状況に適した種の選択方法を示唆することを目的としている。本年度は、牛肉と鶏卵のおいしさと鶏卵の生理作用について検討した。 1. 牛肉と鶏卵のおいしさ おいしさとしてうま味に注目し、飛騨牛の肉ならびに烏骨鶏の卵の特性を調べた。飛騨牛については、リブロースにおける僧帽筋、背半棘筋、胸最長筋を塩酸加水分解し、アミノ酸分析によってアミノ酸組成を分析した。その結果、飛騨牛は対照とした黒毛和牛に比べてグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、アラニン濃度が高く、うま味の強い肉であることが示された。特に胸最長筋におけるグルタミン酸濃度が高かった。また、近赤外画像処理法により試料断面におけるアミノ酸含量を測定した結果、アミノ酸分析と同様の傾向がみられ、うま味の評価方法として有用であることを示唆した。烏骨鶏、奥美濃古地鶏、白色レグホーンの卵白と卵黄についてアミノ酸組成を比較した結果、鶏種による違いは認められなかった。 2. 鶏卵の生理作用 ウイルス感染阻害効果などが報告されているシアル酸含量を測定した結果、烏骨鶏の卵では奥美濃古地鶏や白色レグホーンに比べて含量が高かった。一方、烏骨鶏の卵黄油は白色レグホーンに比べて多価不飽和脂肪酸の割合が低かった。鶏卵の機能性成分含量に鶏種の違いによる影響が示唆された。さらに、鶏卵の摂取が血中コレステロール濃度に及ぼす影響を動物実験により検討した。白色レグホーンの全卵、卵黄、卵白を各々添加した高コレステロール飼料を摂取させたラットにおいて、いずれも血中LDL-コレステロール濃度の上昇が抑制された。卵黄と卵白のいずれにも血中コレステロール濃度を下げる作用が認められ、今後、この作用に及ぼす鶏種の影響について検討を行う予定である。
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