2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500766
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
小川 宣子 中部大学, 応用生物学部, 教授 (30139901)
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Keywords | 鶏卵 / オボムコイド / アミノ酸組成 / アレルギー強度 / 白色レグホーン / 奥美濃古地鶏 / ロードアイランドレッド / 岐阜地鶏 |
Research Abstract |
本研究は、獣鳥類の種の違いに基づく食材の特性を調べ、その食材のおいしさや生理作用に及ぼす影響について明らかにすることを目的としている。本年度は鶏卵の生理作用として食物アレルギーに注目し、鶏種の違いが卵白のアレルギー強度に及ぼす影響について検討した。 卵白の主要なタンパク質であるオボアルブミン、オボグロブリン、オボムコイドなどは食物アレルギーの原因となる場合があり、特にオボムコイドは熱に安定で、鶏卵の主要なアレルゲンと考えられている。そこで、白色レグホーン、ロードアイランドレッド(RIR)、奥美濃古地鶏、岐阜地鶏の卵白からオボムコイドを抽出し、その含量やアミノ酸組成の違いを明らかにするととともに、アレルギー強度を比較した。 卵白をトリクロロ酢酸、硫酸アンモニウム処理して得た粗オボムコイドをHPLCにより分取精製し、卵白中のオボムコイド含量を調べた。奥美濃古地鶏のオボムコイド含量が最も低く、最も高かった白色レグホーンの約70%であった。精製オボムコイドを塩酸加水分解し、アミノ酸組成を比較した結果、RIRのオボムコイドはセリン、グルタミン酸の割合が高く、アスパラギン酸、アルギニンの割合が低いなど他の鶏種のアミノ酸組成と違いがみられた。ブロッティング法により、一次抗体として卵アレルギー患者の血清、二次抗体としてアルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgE抗体を用いアレルギー活性を測定した結果、白色レグホーンとRIRの染色濃度に比べて、奥美濃古地鶏と岐阜地鶏の染色濃度は明らかに低く、アレルギー強度が低いことが示唆された。ELISA法により一次抗体としてブロッティング法と同様の血清、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ヒトIgE抗体を用いて白色レグホーンと奥美濃古地鶏の抑制率を比較した結果、白色レグホーンは98.5%、奥美濃古地鶏は85.9%であり、ブロッティング法と同様、奥美濃古地鶏のアレルギー強度が低いことが示された。
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