2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500772
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
長野 隆男 Kawasaki University of Medical Welfare, 医療技術学部, 教授 (20304660)
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Keywords | 食品 / 食品物性 / 食品構造 / 消化性 |
Research Abstract |
肥満はわが国で大きな社会問題となっている。そのため,食べても糖質の消化吸収が遅く,血糖値の上昇が緩やかな肥満になりにくい食品の開発を目的として研究をおこなっている。21年度は,非澱粉系多糖類であるグアーガムとグルコマンナン(コンニャク粉)が澱粉の物性,構造,消化性に与える影響を検討した。澱粉は最もよく研究されているとうもろこし澱粉を用いて以下の研究をおこなった。1)5%澱粉分散液を加熱して糊化させる前と後に0.5%のグアーガムを加えると,澱粉粒の構造が異なることが共焦点レーザー走査顕微鏡観察の結果から明らかとなった。そこで,澱粉の消化性も変わると考えて検討したが,グアーガムの澱粉分散液加熱前添加と加熱後添加で澱粉の消化性に違いはみられなかった。さらに,添加するグアーガムの量を0.2%から0.8%まで変えて上記の実験と同様の方法で検討をおこなったが,グアーガムの加熱前添加と加熱後添加で澱粉の消化性に違いはみられず,グアーガムの添加量が増えるに従って澱粉は消化されにくくなった。以上の結果から,澱粉の消化性は澱粉粒の構造の違いよりもグアーガムの添加量に影響を受けることが示された。2)澱粉分散液に粒子径が異なる4種類のグルコマンナンが澱粉の力学物性と構造に与える影響を調べた。その結果,グルコマンナンの粒子径が一定以上の大きさであると,澱粉の老化は抑制されることが示された。さらに,共焦点レーザー走査顕微鏡により澱粉粒の構造を調べたところ,老化が抑制された試料は澱粉粒から澱粉構成成分の溶出が抑制されていることが観察された。今後,さらに澱粉の消化性との関係を検討する予定である。
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