2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム予防と油脂の摂取に関する研究
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21500774
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
藤原 葉子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (50293105)
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Keywords | 脂質栄養学 / 多価不飽和脂肪 / 脂肪細胞 / メタボリックシンドローム / マイクロアレイ / 炎症 |
Research Abstract |
肥満によって引き起こされる高血圧、脂質異常症、耐糖能異常症を合併したメタボリックシンドロームは、動脈硬化性の虚血性心疾患や脳梗塞の発症リスクが高くなるため、社会的な問題となっている。メタボリックシンドロームの予防や治療には、肥満を防ぐことが必要であり、生活習慣や食生活の改善は今後ますます重要な課題となる。脂質はカロリーの高い栄養素であるが、種々の生理機能を持つ必須脂肪酸としての役割も持っているため、適切な摂取量や質を知ることが重要である。これまでに、摂取する油の種類によって、肥満や耐糖能に対する影響に違いのあることが知られている。本研究では、このような違いが、どのようなメカニズムによって起きるのかを検討するために、脂質の質を決定する種々の脂肪酸の細胞レベルでの影響を調べることとした。 初年度は、耐糖能異常を引き起こすサイトカインを分泌する脂肪細胞について検討した。SGBCヒト脂肪細胞に種々の脂肪酸を添加すると、抗炎症作用を持つことで知られているエイコサペンタエン酸(EPA)も、アラキドン酸(AA)より少ないものの、IL6などの炎症関連遺伝子の発現が増加した。そこで、これらの脂肪酸で処理した脂肪細胞に、ヒト単球由来THP-1の接着を検討したところ、OAでは変わらず、AAでは増加するのに対し、EPA処理した脂肪細胞では低下した。また脂肪細胞とTHP-1マクロファージを共培養すると、両者の炎症性サイトカインの発現は著しく上昇し、AA添加ではさら増加するが、EPAでは抑制された。OAでは変わらなかった。以上の結果から、EPAは脂肪細胞単独よりも、マクロファージとの相互作用において、炎症性サイトカインを低下することで、脂肪組織における炎症状態を抑制し、脂肪細胞から放出される耐糖能異常を引き起こすTNF-αなどのアディポサイトカインを低下することが示唆された。
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Research Products
(5 results)