2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム予防と油脂の摂取に関する研究
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21500774
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
藤原 葉子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (50293105)
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Keywords | インスリン抵抗性 / 骨格筋 / C2C12 / パルミトオレイン酸 / DNAマイクロアレイ / エイコサペンタエン酸 |
Research Abstract |
肥満によって引き起こされる高血圧、脂質異常症、耐糖能異常症を合併したメタボリックシンドロームは動脈硬化性の虚血性心疾患や脳梗塞の発症リスクが高くなるため、社会的な問題となっている。メタボリックシンドロームの予防や治療には、肥満を防ぐ食事の質や量が重要となる。その中でも脂質はカロリーが高いだけでなく、種々の生理機能を持つ必須脂肪酸としての役割も持っているため、適切な摂取の量と質を知ることが必要である。本研究は脂質の質を決定する種々の脂肪酸の影響を、肥満やインスリン抵抗性に関わる細胞レベルで研究することを目的とし、全身の耐糖能に最も大きな影響を与える骨格筋にける、脂肪酸の種類による影響の違いを調べた。マウス由来C2C12筋管細胞に、パルミチン酸(PA)、パルミトオレイン酸(POA)、リノール酸(LA)、およびエイコサペンタエン酸(EPA)をそれぞれ終濃度100mMになるように添加して24時間後の細胞を、Agilent社のDNAマイクロアレイで網羅的に解析した。脂肪酸は骨格筋において炎症作用を惹起し、インスリン抵抗性を引き起こすことが報告されているが、今回の実験条件ではどの脂肪酸でも炎症反応による遺伝子の動きは認められず、カルシウムシグナルに関連した遺伝子の変化が認められたことから、骨格筋における脂肪酸の主要な生理機能は、細胞内カルシウムを介した代謝制御であることが示唆された。脂肪酸を添加した後のC2C12細胞内カルシウム濃度の変化を調べたところ、EPA添加で最も高く、インスリン様作用が報告されているPOAでは、細胞内カルシウム濃度が添加2時間後まで高かった。血糖の取り込みに関連するAMPKはカルシウム濃度によって活性化されることが報告されているため、脂肪酸添加によるAMPKのリン酸化を検討したところ、POAとEPAでの活性化が認められ、C2C12細胞における糖取り込みも、EPAがインスリンと同程度促進することが分かった。骨格筋における耐糖能改善と、脂肪酸によるカルシウムシグナルとの関連を探ることが今後の課題となる.
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Research Products
(3 results)