2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分によるヘム分解系調節のメカニズム解明と機能性食品・医薬品への応用
Project/Area Number |
21500776
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小川 和宏 金沢大学, 医学系, 准教授 (30344659)
|
Keywords | ヘム鉄 / ヘムオキシゲナーゼ / 生体防御 / 食品成分 / 発現調節 |
Research Abstract |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)ば、ヘムを分解してビリベルジン、一酸化炭素、鉄を生じ、ビリベルジンは速やかにビリルビンに変換される。HOの誘導性アイソザイムである'HO-1は、基質ヘム(プロオキシダント)、酸化的ストレスなどで、主に転写レベルで発現が誘導されて、ビリルビン(抗酸化物質)の産生を促進する生体防御タンパク質である。 ヒトの細胞では、動物の細胞とは逆に、低酸素でHO-1の発現が抑制され、本来低酸素で生体防御機能がより必要な場所・時に、HO-1による生体防御機能が低下してしまう。低酸素下で抑制されるHO-1の発現を、HO-1誘導物質によってどれだけ発現を維持・増強できるかを調べたところ、いくつかのHO-1誘導物質で発現の維持・増強効果が見られたが、特にポリアミンによる発現誘導作用は低酸素下でも強く、常酸素下と同等の発現誘導作用を示した。これは、虚血再還流障害など低酸素を主因とする病態において、低酸素部位で必要なHO-1による生体防御作用を維持・増強するのに、ポリアミン等のHO-1誘導物質が有用である可能性を示唆している。 重金属やいくつかの金属ポルフィリン誘導体がHO-1の転写を誘導することが知られているが、その誘導能の強さは金属の種類によって異なる。HO-1の転写は、転写活性化因子Nrf2と転写抑制因子Bach1によって、それぞれ正および負に調節されるが、金属ポルフィリ・ン誘導体のBach1のDNA結合の阻害作.用と、HO-1誘導能は、良い相関を示した。このことは、金属ポルフィリンによるHO-1の転写誘導が、Bach1の転写抑制作用の阻害(脱抑制)を介していることを示唆している。
|