2009 Fiscal Year Annual Research Report
食事導入期のタンパク質栄養の制御による正常な大腸内環境の構築
Project/Area Number |
21500781
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
西村 直道 Nayoro City University, 保健福祉学部, 教授 (10341679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 達朗 名寄市立大学, 保健福祉学部, 助教 (90379389)
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Keywords | 大腸内発酵 / 腸内細菌叢 / 短鎖脂肪酸 / 酪酸 / タンパク質 / 大豆タンパク質 / 食事導入期 / 離乳 |
Research Abstract |
比較的、消化吸収能の低い食事導入期に与えるタンパク質が腸内細菌叢や大腸内発酵に与える影響を明らかにするため、強制離乳した仔ラットにカゼイン(Cas)および大豆タンパク質(SPI)を与えたときの腸内細菌叢パタンおよび大腸内発酵の変動について調べた。出生21日後に強制離乳した仔ラットにCas食およびSPI食を与え、食事導入開始時および試験食投与途中の盲腸内容物中の腸内細菌叢パタン(16SrDNA PCR-DGGE法)および短鎖脂肪酸濃度を解析した。SPI食群の腸内細菌叢パタンはCas食群と異なる新たなクラスターを食事導入7日後以降形成し、食事導入21日後にはその菌叢がほぼ安定した。SPI投与ラットの盲腸内酪酸濃度はCas食群のそれに比べ有意に高く、食事導入21日後でほぼ一定となった。以上より、食事導入期のSPI投与によって大腸内に流入した窒素源は特有の大腸内細菌叢の形成に寄与し、大腸上皮細胞のエネルギー源となる酪酸の生成を亢進させることがわかった。 次に、食事導入期のSPI投与によって形成された特有な大腸内環境の安定性を調べた。食事導入21日後までCas食およびSPI食を与えた後、飼料をクロスオーバーさせてさらに14日間飼育し、食事導入開始時および試験食投与途中の盲腸内容物中の腸内細菌叢パタン(16SrDNA PCR-DGGE法および16SrDNAクローンライブラリ法)および短鎖脂肪酸濃度を解析した。食事導入直後のSPI投与による酪酸生成亢進作用は、Cas食に切り換えることで消失したが、腸内細菌叢はSPIからCasに切り替えてもSPI摂取時の細菌叢と類似していた。以上より、タンパク質源として食事導入期にSPIを与えることで獲得した腸内細菌叢パタンは安定しており、食事導入期のSPI投与が高酪酸生成を可能にする腸内細菌叢の定着に寄与することを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
西村直道
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Journal Title
大豆のすべて, 第5章第1節第6項 腸内フローラ(難消化性タンパク質と腸内フローラ)(サイエンスフォーラム)
Pages: 173-176
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