2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管新生を抑制する食品成分の探索とその抑制機構の分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
21500782
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
太田 敏郎 University of Shizuoka, 生活健康科学研究科, 助教 (40285193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 茂則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (10295561)
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Keywords | 癌予防 / 血管新生 / 食品成分 / 分子細胞生物学 / アポトーシス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
腫瘍血管新生の阻害は癌治療の有効な新戦略であることが、初の血管新生阻害薬Avastinの成功によって既に臨床レベルで証明されている。この戦略を応用して癌の予防・再発防止に利用できる食品の開発を目指すことが本課題の全体構想である。 平成21年度は、これまでの成果を基に様々な植物抽出物や食品成分について新たにスクリーニングを行い、血管新生抑制活性を有するサンプルを選出して活性成分を同定した。同定された活性成分について、その血管新生抑制の分子機構の解明を行った。 その結果、キャベツ等に含まれるIndole-3-carbinolや蜂産品プロポリスが血管新生抑制活性を持つことを明らかにした。また、ヒト血管内皮細胞をコラーゲンゲル中で培養することで誘導される毛細血管様管腔構造の形成(in vitroヒト血管新生モデル)に対して、Indole-3-carbinolやプロポリス成分が引き起こす形態変化を観察し、アポトーシスの誘導が起こっていることを見出した。さらに、プロポリスの構成成分として複数の化合物を同定し、これら化合物の血管新生抑制活性と抗酸化活性の間に相関があることを示すことができた。分子レベルでは、ERK 1/2等のシグナル伝達タンパク質、caspase-3やPARP, lamin A/C等のアポトーシスマーカーの変化をウェスタンブロット法によって解析した結果、血管内皮細胞内でのcaspase活性化を介したアポトーシス誘導がこれらサンプルによる血管新生抑制の分子メカニズムとして重要であることを明らかにした。
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