2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドコサヘキサエン酸代謝物レゾルビンD1の炎症収束作用による心疾患抑制に関する研究
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21500788
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
山主 智子 香川県立保健医療大学, 教養部, 准教授 (40382395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加太 英明 香川県立保健医療大学, 教養部, 教授 (00321266)
平川 栄一郎 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (60238342)
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Keywords | ドコサヘキサエン酸(DHA) / 心疾患 / 炎症 / レゾルビンD1 / n3系不飽和脂肪酸 / 心不全 / 機能性脂質 / エイコサペンタエン酸(EPA) |
Research Abstract |
5週齢SD系オスラットを4群に分け、1)対照群(ポジティブコントロール)、2)CHF群(ネガティブコントロール)、3)CHF+RvL群、4)CHF+RvH群とし、3)群には0.1μg/dayレゾルビンD1(RvD1)、4)群には1.0μg/day RvD1を、また1)、2)群には生理食塩水をそれぞれ腹腔内投与した。その直後及び以降1週間、炎症性右鬱血心不全(CHF)を誘発させるため、2)-4)群にはモノクロタリン(MCT)、及び1)群には生理食塩水を皮下投与した。MCT投与開始日から3週間後に解剖を行った。解剖時の心電図QT波間隔(心室筋収縮持続時間)は、対照群に比較し、CHF群及びCHF+RvH群で有意に延長しており、CHF+RvL群でも、延長が見られた。病理評価により、CHF群で見られた肺動脈肥厚はCHF+RvH群及びCHF+RvL群で抑制されており、無気肺もCHF+RvH群及びCHF+RvL群では縮小していた。CHF群で見られた心筋細胞肥大の抑制はCHF+RvH群及びCHF+RvL群では見られず、心臓への炎症細胞の浸潤はこれらの群では増加していた。心臓機能の指標BNP濃度は、対照群に比較し、CHF群及びCHF+RvL群で有意に高く、CHF+RvH群でも高かった。総白血球数は、対照群に比較し、CHF群、CHF+RvL群で有意に増加しており、CHF+RvH群で増加していた。CHF誘発後20日目の生存率は、対照群100%、CHF群40%、CHF+RvL群70%、CHF+RvH群64%で、21日目では対照群100%、CHF群20%、CHF+RvL群50%、CHF+RvH群55%であった。RvD1投与により肺の病態が緩和されていた事から、RvD1は肺動脈に始まった初期炎症の抑制に効果があったと考えられた。しかし、RvD1投与による、CHFモデル動物の心臓病態の緩和あまり見られず、白血球数が増加した事、生存率は低下した事からも、炎症初期に収束されず心臓へ及んだ炎症の抑制効果は弱かったと推測された。 また、正常ラット、CHFモデル、肝炎モデル等について、DHAを経口投与し、病態の改善及び生化学的変化について検討を行った。さらに今後、心臓中イオンチャネル発現を検討するための基礎検討を行った。
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Research Products
(5 results)