2009 Fiscal Year Annual Research Report
コーヒーのエストロゲン硫酸抱合の阻害と生活習慣病予防効果との相関
Project/Area Number |
21500792
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 悦臣 Keio University, 薬学部, 教授 (50201629)
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Keywords | 生活習慣病 / コーヒー / 硫酸抱合 / エストロゲン / 消化管 |
Research Abstract |
我々はコーヒーがヒト消化管モデルCaco-2細胞におけるエストロゲンの硫酸抱合反応を強く阻害することを見出し、この阻害活性がコーヒーの生活習慣病予防効果と相関があるのではないかという仮説を立てた。この仮説を実証するため、21年度は、コーヒー中の阻害成分の同定を目指した。まず、阻害活性を多く含むコーヒーの選定を試みた。その結果、コーヒー豆から抽出する場合、焙煎時間にはあまり依存しないこと、インスタントコーヒー中にも含まれ、デカフェのインスタントコーヒー中にも同程度含有されることを見出した。阻害活性は、コーヒーの主成分であるカフェインではないことはすでに明らかとしているが、物性が似ているため、阻害成分を精製する過程で、カフェインと分離することが難しかったので、精製・同定の出発材料として、デカフェインスタントコーヒーを用いることとした。デカフェインスタントコーヒー10L(100g)よりスタートし、酢酸エチル抽出、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて、ヘキサン:酢酸エチル=1:1溶出画分に活性の33%が回収され、さらに、同様のクロマトグラフィーで、クロロホルム:メタノール=1:1溶出画分に27%の活性が回収された(141mg)。この段階で活性は200倍以上に純化された。現在、逆送クロマトグラフィー等を用いて、さらなる精製を続けている。上記の実験と並行し、Caco-2細胞におけるエストロゲン代謝に関わる酵素群の遺伝子発現に対する影響について検討した。その結果、コーヒーは、SULT1E1,sulfataseおよびBCRPの遺伝子発現を抑制することを見出した。また、この効果は、コーヒーの主成分であるカフェイン、クロロゲン酸、カフェ酸ではないことを明らかにした。コーヒーのこの遺伝子発現に対する影響も、生活習慣病の予防効果となんらかの関係があるが予想される。
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