2010 Fiscal Year Annual Research Report
コーヒーのエストロゲン硫酸抱合の阻害と生活習慣病予防効果との相関
Project/Area Number |
21500792
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 悦臣 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (50201629)
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Keywords | 生活習慣病 / コーヒー / 硫酸抱合 / エストロゲン / 消化管 |
Research Abstract |
我々はコーヒーがヒト消化管モデルCaco-2細胞におけるエストロゲンの硫酸抱合反応を強く阻害することを見出し、この阻害活性がコーヒーの生活習慣病予防効果と相関があるのではないかという仮説を立てた。この仮説を実証するため、コーヒー中の阻害成分の同定を目指しているが、平成22年度は、デカフェインスタントコーヒー10L(100g)より酢酸エチル抽出、シリカゲルクロマトグラフィー、ダイアイオンカラム、逆送ローバーカラム、LH20カラム等を用いて、さらなる精製を進め、NMRにて分子量204程度の窒素含有芳香族化合物である可能性を得ているが、微量であるため正確な構造決定に至っていない。また、Caco-2細胞におけるエストロゲン代謝に関わる酵素群(SULT1E1,sulfatase,BCRP)の遺伝子発現に対するコーヒーの影響について、さらに検討を加え、この遺伝子発現に影響を与える成分が270℃の焙煎により10分後から生成することを見出した。それぞれ対応する酵素蛋白質の量的変動を定量した結果、遺伝子発現と相関することを示すことができた。特に、BCRPの活性については、特異的基質Hoechst33342の排出がコーヒー処理により増大することを明らかにした。さらに、BCRP遺伝子発現のコーヒーによる誘導が、転写因子NF-kBを介することを、阻害剤DHMEQを用いて示すことができた。消化管におけるコーヒー摂取によるBCRP活性の変化は、発がん物質の生物活性に影響を与えることが予想され、コーヒーによるがん予防効果との相関を示唆するものと考えられる。
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