2011 Fiscal Year Annual Research Report
コーヒーのエストロゲン硫酸抱合の阻害と生活習慣病予防効果との相関
Project/Area Number |
21500792
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 悦臣 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (50201629)
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Keywords | 生活習慣病 / コーヒー / 硫酸抱合 / エストロゲン / 消化管 |
Research Abstract |
1)我々はコーヒー中の焙煎成分が、ヒト消化管モデルCaco-2細胞におけるエストロゲンの硫酸抱合反応を強く阻害することを見出し、この阻害活性がコーヒーの生活習慣病予防効果と相関があるのではないかという仮説を立てた。この仮説を実証するため、コーヒー中の阻害成分の同定を目指し、デカフェインスタントコーヒー10L(100g)より酢酸エチル抽出、シリカゲルクロマトグラフィー、ダイアイオンカラム、逆送ローバーカラム、LH20カラム等を用いて分子量204の新規窒素含有芳香族化合物を得た。この新規化合物が、エストロゲン硫酸抱合阻害を担うものかどうかを確認するため、この化合物の合成を試みた。現在、最終ステップに至っているが、安定性の問題で難航している。 2)これまで、コーヒーの焙煎で生成する成分がCaco-2細胞におけるエストロゲン代謝に関わる酵素群(SULT1E1,sulfatase,BCRP)の遺伝子発現に対して影響を与えることを見出し、BCRP遺伝子発現については、転写因子NF-kBを介することを、阻害剤DHMEQを用いて示した。本年度は、コーヒーがBCRP遺伝子のプロモーター領域のメチル化を低下させることを見出し、このコーヒーの脱メチル化活性が、DNAメチルトタンスフェラーゼ遺伝子の阻害による可能性が示唆した。現在、詳細な脱メチル化領域の解析を行っている。 3)コーヒーのCaco-2細胞における遺伝子発現に対する効果の分子基盤をさらに検討するため、コーヒー添加によるmicroRNA(miRNA)の発現変動を調べた。その結果、数種のmiRNAが大きく変動した。変動したmiRNAの標的遺伝子には、複数の転写因子や発がん遺伝子が含まれ、このmiRNAに対する効果が、コーヒーの生活習慣病予防効果と関連する可能性が示唆された。
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