Research Abstract |
中学生における「食の安心・安全」に関するカリキュラムを計画的行動理論を用いて立案し,超鏡(HyperMirror)による国際交流型の食教育授業を日本(公立,私立),タイ国(私立)間において,3年間継続する。2年目は"食物選択行動"をテーマとし,「食品ラベルなどの確認ができる」,「食品の選び方がわかる」,「間食の摂り方がわかる」を行動目標とした。授業構成は,生徒による英語での学校紹介,栄養博士によるクイズを取り入れた「食材の選び方」,「食品ラベルの見方」の解説,お互いの国の伝統的な菓子の試食の3部構成とし,グループワークとした。システムは,2回線のテレビ電話(Skype)を使用した。画面1は相手のカメラ1/自分側の生徒達,画面2は相手のカメラ2/コンピュータ画面とした。1年目のHMと2年目のテレビ電話システムの評価では,両国ともHMの方の評価が高かった。授業前に間食マッピング調査と,前後に食物選択行動に関する質問紙調査(食物選択に関する知識,周囲の支援(主観的規範),関心,セルフエフィカシー(行動コントロール感),行動の実態)を行った。間食マッピング調査の結果では,日本は午後,タイは朝,昼に摂取するパターンが多かった。質問紙調査の結果では,知識については,表示の規定,旬の食材の季節区分で両国に差があることから比較できなかった。行動意志はタイが日本より高い傾向であった。行動得点は両国とも上昇した。このことから,2年目の遠隔国際交流学習は効果があったと考えられる。ただしタイ男子のみが有意な上昇ではなく,行動コントロール感が低下していた。今後行動コントロール感をあげるような学習方法の検討が必要である。国際交流学習をタイでは学校における学習と認識し,日本では交流のイベントと受け止めている傾向が推察された。今後は遠隔国際交流学習の学校教育の中での位置づけを明らかにしておく必要があろう。
|