2010 Fiscal Year Annual Research Report
調理・加工によるビタミンC由来メイラード反応生成物の健康への影響
Project/Area Number |
21500797
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
三宅 紀子 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (70314573)
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Keywords | ビタミンC / メイラード反応 / 細胞増殖 / 加熱調理 / 酸化 |
Research Abstract |
私たちは毎日食品材料を調理・加工して食べ物として摂取しているが、その際起きる食品成分間反応のひとつとしてメイラード反応が広く知られている。この反応は高温加熱調理食品の嗜好性付与に重要な役割を果たしている。一方、ビタミンC(アスコルビン酸)は調理・加工過程において容易に酸化されてヒドロアスコルビン酸、さらに加水分解されてジケトグロン酸になる。アスコルビン酸酸化生成物は反応性が高いジカルボニル構造を有することから、他の食品成分、特にタンパク質とのメイラード反応(グリケーション反応)が懸念される。近年このグリケーション反応が生体内においても進行し、糖尿病合併症などに関わることが報告され、飲食物由来のグリケーション反応生成物の健康への影響についても関心が向けられるようになった。本研究ではアスコルビン酸、特にその酸化生成物と食品タンパク質との反応生成物の生体への影響について検討を行うことを目的とした。食品の加工・調理のモデル系として、アスコルビン酸およびその酸化生成物(デヒドロアスコルビン酸、ジケトグロン酸)と食品タンパク質(カゼイン)との加熱反応をグルコースおよびジカルボニル化合物を対照として緩衝液中で行った。前年度の結果をもとに後期糖化生成物(AGE)の生成の高い条件でのグリケーション反応物について、ヒト腸管上皮モデル細胞Caco-2の細胞増殖への影響をMTT法により調べた。ジケトグロン酸とのグリケーション反応生成物では、反応性が高いことが知られているグリオキサールおよびメチルグリオキサールの場合よりも低濃度での細胞増殖抑制が認められた。従って、食品中のアスコルビン酸酸化生成物が生体に影響を与える可能性が示唆された。
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