2011 Fiscal Year Annual Research Report
食べ物のおいしさとこく‐その本態の解明と過剰摂取への対策‐
Project/Area Number |
21500808
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
山本 隆 畿央大学, 健康科学部, 教授 (60028793)
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Keywords | 味覚 / おいしさ / こく / 食行動 / 味覚閾値 |
Research Abstract |
1)幼若ラットにおける嗜好学習について 幼若期の食経験が成長後の食行動にいかに影響を及ぼすかに関心を持ち、研究を行った。3週齢(離乳直後)のラットは低濃度(2%)のショ糖溶液と連合した香りを好み、高濃度(30%)のショ糖溶液と連合した香りを嫌う学習を獲得した。しかもこれらの学習は、20週齢(成長後)に再テストを行った結果、保持していることを確認した。幼若ラットが高濃度のショ糖溶液に嫌悪感を持つのは、消化管においてショ糖分解酵素がまだ十分に働かないために消化不良になるためではないかという仮説を検証するため、ショ糖を構成するグルコースとフルクトースをそれぞれ15%ずつ含む溶液で条件付けをすると、やはり嫌悪学習を獲得した。内臓感覚ではなく、口腔感覚として嫌悪しているものと思われる。 2)fNIRS法によるおいしさの評価法について 昨年に引き続き、近赤外線スペクトロスコピー(fNIRS)を用いて、被験者がおいしいと思う食べ物、まずいと思う食べ物を実際に咀嚼・嚥下したときの大脳皮質の酸素化ヘモグロビンを測定した。前頭前野では、大好物を食べたときに、酸素化ヘモグロビンの低下、すなわち、脳活動が低下し、もっと食べたいと思うときには増大することから脳活動が上昇するという知見が得られた。咀嚼中のおいしさの実感(陶酔感)と、飲み込んだ後のもっとほしいという欲求(期待感)を反映しているのではないだろうか。そして、この欲求には、この部位に投射することの知られているドーパミンの作用によるのではないかと推察される。また、おいしいときの脳活動の低下は、おいしさに集中し我を忘れる状態を反映しているものと推察される。
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Research Products
(8 results)