2010 Fiscal Year Annual Research Report
主食である米タンパク質摂取による2型糖尿病および腎機能への効果の検証
Project/Area Number |
21500812
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
渡邊 令子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (70141348)
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Keywords | 米タンパク質 / 2型糖尿病モデルGKラット / 尿中アルブミン / 糖尿病性腎症 / 血漿アルカリホスファターゼ / ヘマトクリット値 |
Research Abstract |
平成19年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)によれば、「米」由来タンパク質摂取量は12.3%で、肉類(23.9%)、魚介類(19.3%)に次いで第3のタンパク質給源であり、豆類(6.1%)の約2倍となっている。このように、日本人のタンパク質給源としての米の寄与率が高いにもかかわらず、その栄養生理機能については未解明である。一方、2型糖尿病は生活習慣病の最たる疾病で、糖尿病性腎症を初めとする合併症をもつ患者の急増は社会的問題となっている。前年度までの研究成果で、「米胚乳タンパク質(RP)」は、カゼイン(C)と比較して糖尿病の病態における肝臓や腎臓、特に腎機能維持に有効であることがうかがわれた。 そこで、本年度は企業の協力によりRPとはタンパク質組成が異なる高純度「米糠タンパク質(RBP)」の大量調製が可能になったこともあり、RBPも飼養試験飼料に用いて比較検討した。また、自然発症非肥満型2型糖尿病モデルのGoto-Kakizaki(GK)ラットは約24週齢で病態が急激に悪化するという知見があるので、7週齢雄ラットを用いて約4ヶ月間に渡る長期飼養試験を実施し、特に腎機能に焦点をあてて各種生体指標について調べた。(1)空腹時血糖値や収縮期血圧の経時変化、血漿インスリン濃度は、対照としてのカゼイン(C)に比べRP、RBP両群とも有意差はみられなかったが、試験終了時の尿中アルブミン濃度はC群に比較してRP群は約40%、RBP群は約50%有意に低値であった。(2)エリスロポエチン性貧血が知られているが、ヘマトクリット値はRPとRBP両群がC群に比べ有意に高値を示した。(3)糖尿病やメタボリックシンドローム進行の指標として有効とされている血漿ALP値はRPとRBP両群で有意に低値を示した。以上の結果等から、米胚乳・米糠タンパク質は強力な腎機能保持効果をもつことを明らかにした。
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