2011 Fiscal Year Annual Research Report
主食である米タンパク質摂取による2型糖尿病および腎機能への効果の検証
Project/Area Number |
21500812
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Research Institution | 新潟県立大学 |
Principal Investigator |
渡邊 令子 新潟県立大学, 人間生活学部, 教授 (70141348)
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Keywords | 米タンパク質 / 2型糖尿病モデルGKラット / 糖尿病性腎症 / 尿中アルブミン / 腎糸球体障害度 |
Research Abstract |
糖尿病の進行によって引き起こされる腎機能障害に対する米胚乳タンパク質(RP;87.5%)と米糠タンパク質(RBP;74.4%)の効果について、日本人およびアジア人種に多い非肥満型の2型糖尿病自然発症モデルである7週齢雄Goto-Kakizaki(GK)ラットを用いて検討した。飼料のタンパク質給源はカゼイン(C;対照)、RP、およびRBPとし、CP20%、糖尿病病態を促進するためにスクロース含量のみ標準飼料(AIN-93G)の3倍に設定した飼料を15週間給与した。経時的に空腹時血糖値、尿中アルブミン排泄量等を測定、試験終了時には血液、腎臓等を採取して分析や画像解析に供した。(1)糖尿病性腎症の早期診断マーカーである尿中アルブミン排泄に対する抑制効果は、RPとRBP両者にみられたが、RBPがより強い傾向であった。(2)腎臓の病理組織学的解析では、C群に比べてRP群は腎皮質・皮髄境界部ともに、RBP群は皮髄境界部で腎糸球体障害度(メサンギウム領域の拡大)が有意に抑制されていた。(3)腎臓でのMCP-1のmRNA発現は、C群が経時的に有意に増加したのに対してRP群では発現抑制が明らかであり、この発現変化は血漿インスリン濃度と同様の推移を示した。(4)RP群の血漿エリスロポエチン濃度は有意に高値を示してヘマトクリット値と連動していた。メカニズム解明を目指して、現在、肥満型糖尿病モデルのZDFラットを用いて同様の試験を行い、比較解析中である。 糖尿病患者の増加は、先進国、発展途上国を問わず世界的な規模で深刻な問題となっている。2型糖尿病は生活習慣病の最たる疾病であり、さまざまな合併症を引き起こす。なかでも、糖尿病性腎症は重篤な合併症ゆえ、米胚乳・米糠タンパク質摂取による腎機能保持効果や腎症の進行抑制効果は、タンパク質の「量」のみでなく「質」の重要性を提起すると同時に、栄養学的に「米」の再評価となる。
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Research Products
(5 results)