2009 Fiscal Year Annual Research Report
生活リズムと解離した食事制限が若年女性の生殖機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
21500813
|
Research Institution | Ashiya College |
Principal Investigator |
藤原 智子 Ashiya College, その他, 教授 (60310744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 講師 (90198119)
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30252456)
|
Keywords | 女子大学生 / 婦人科疾患 / 食習慣 / ラット実験モデル / 食育プログラム |
Research Abstract |
性成熟過程にある女性の食生活は以後の母性を担う時期の女性のQOLに重要な影響を与えるという新しい着想から、悪影響を及ぼす可能性のある食生活習慣の因子を抽出することを目的として、18-20歳の女子学生を対象に食事習慣を含む基本的な生活習慣、体型認識やダイエット行動の実態、婦人科愁訴をふくむ身体症状についてのアンケート調査を継続して実施した。また、アンケート回答者の一部に食事記録を依頼し、栄養分析を行った。さらに雌性ラットを用いて食餌量および食餌時間の制限による性周期変化を観察し、食生活が生殖機能に及ぼす影響を検討した。 アンケート調査の結果を詳細に分析したところ、不適切と考えられる食生活習慣の中でも朝食の欠食は若年女性の生殖機能に悪影響を及ぼすもっとも重要な因子のひとつである可能性が示唆された。食事記録からは調査対象者の平均的な摂取エネルギー量は推定エネルギー必要量の8割以下であることが明らかとなった。さらにラットによる検証実験においても、80%および50%制限食の負荷で性周期の乱れが観察されたが、とくに50%制限下で活動期に飢餓状態におかれている群は、非活動期に飢餓状態におかれている群に比べて正常性周期への回復が遅い傾向が認められた。以上の知見から、生活の活動開始期に行う欠食、すなわち摂食リズムと生活リズムの解離が生殖機能に大きな悪影響を与える可能性が示された。 これらの成果は、性成熟完成期女性に対して、ダイエットを行う場合でも将来の生殖機能に対する障害を最小限に抑えることが期待できる新しい視点からの提言を盛り込んだ食育プログラムを作成する上で意義ある知見といえる。
|