2011 Fiscal Year Annual Research Report
生活リズムと解離した食事制限が若年女性の生殖機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
21500813
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Research Institution | Ashiya College |
Principal Investigator |
藤原 智子 芦屋学園短期大学, 生活創造学科, 教授 (60310744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 理恵子 奈良女子大学, 生活環境学系, 講師 (90198119)
藤原 浩 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30252456)
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Keywords | 女子大学生 / 婦人科疾患 / 食習慣 / ラット実験モデル / 食育プログラム |
Research Abstract |
性成熟過程にある女性の食生活は以後の母性を担う時期の女性のQOLに重要な影響を与えるという新しい着想から、生殖機能に悪影響を及ぼす可能性のある食生活習慣の因子を抽出することを目的として、18-20歳の女子学生を対象に食事習慣を含む基本的な生活習慣、体型認識やダイエット行動の実態、婦人科愁訴をふくむ身体症状についてのアンケート調査を継続して実施した。また、昨年度に引き続いてアンケート回答者の一部に対して実施した3ヶ月におよぶ食事記録の詳細な分析を行った。 その結果、朝食を欠食すると有意に月経痛の程度が強くなり、また便通の状態が悪いことが明らかになった。食事内容が及ぼす影響は、便通については緑黄色野菜の摂取頻度が低いと有意に便通の状態が悪いことが認められたが、月経痛についてはいずれの食品群においても摂取頻度と月経痛の程度との間に有意な差は得られなかった。機能的な月経痛の発生機序は大きく分けて、内分泌系を介する経路と自律神経系を介する経路が想定されるが、内分泌系経路においては同時に月経周期の乱れをきたすと推察される。一方で子宮と直腸は骨盤内の主要臓器であり、月経周期に伴いホルモンおよび自律神経の影響下に、それぞれ月経痛、便秘を呈することが知られている。便通の状態を左右する要因が朝食欠食に起因する食事リズムの乱れとともに特定の食品の摂取頻度も関与していると考えられるのに対し、月経痛を引き起こす原因としては食事の内容より朝食を欠食することで生じる摂食リズムの乱れが強く影響を及ぼす可能性が示唆された。 これらの成果は、性成熟完成期女性に対して、ダイエットを行う場合でも将来の生殖機能に対する障害を最小限に抑えることが期待できる新しい視点からの提言を盛り込んだ食育プログラムを作成する上で意義ある知見といえる。
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