2011 Fiscal Year Annual Research Report
自然科学教育に必要な気象学に関するモデル実験教材の開発と応用
Project/Area Number |
21500856
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
森 保仁 佐世保工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (80243898)
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Keywords | 異常気象 / 地球モデル / 赤外線サーモグラフィー / 偏西風波動 |
Research Abstract |
近年、多くの地域で見られる異常気象は、地球上の中緯度地域を流れる「偏西風波動」と呼ばれる大気の強い流れが大きく蛇行したことにより、高気圧や低気圧が日本上空に停滞したことが原因であると考えられている。本研究の目的は、3層からなる水槽を用いた地球モデル実験装置を製作し、地球環境の変化によって引き起こされる偏西風波動の変化について様々な条件の下で詳しく調べることである。この実験装置め最大の特徴は、サーモグラフィーカメラで極上空の回転系からの熱画像と育視画像を同時に撮影することにある。 平成23年度は、前年度までに製作した「地球モデル装置」を用いて、中緯度域の水槽内に生じる偏西風波動に相当する蛇行する流れが、「大気の厚み」や「北極振動」によってどのように影響を受けるかについて詳しく調べた。 「大気の厚みによる影響」に関しては次のような知見を得た。1、中緯度域の水深(つまり大気の厚み)が増加すると、偏西風波動の数が減少する。2、中緯度域の水深を連続的に変化させると、波動の形や数、波長の変化を伴って、偏西風波動が流動する。3、中緯度域と赤道域の温度差、またに赤道域と北極域の温度差が増加すると、偏西風波動は減少する傾向にある。 「北極振動による影響」に関しては次のような知見を得た。1、北極域が大きく張り出すと大きな低気圧が発達し、小さく張り出すと小さな低気圧が発達する。2、北極振動の張り出す数が1つと2つでは、2つの方が偏西風波動の波動数が減少する。3、張り出しがある場合には偏西風波動は流動し、張り出しがない場合には偏西風波動が停滞する。4、張り出しの頂上付近では偏西風波動が消失し、張り出しを通過後に新たに渦が形成され、それが波動に発達する傾向にある。
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