2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500883
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
阿部 知顕 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (40382684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 澄夫 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (00007197)
前田 靖男 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 名誉教授 (50025417)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 教育的実験系 / 理科教育 / 細胞培養 / 動物培養細胞 / 高等教育 / 中等教育 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
実験の安全管理について、P1レベルの生物である細胞性粘菌の遺伝子組み換え体の安全確実な廃棄を保証できる方法として次亜塩素酸処理が有効であることを確認した前年度までの結果を受け、法律を遵守しながら安全に教育的実験を遂行できるようにするべきガイドラインを作成した。このガイドラインでは、特に高等学校でのP1レベルの遺伝子組み換え体の使用に関して、生物体の確実な不活化と廃棄の実施と実験管理記録の保存、および、実験従事者と責任者の明確化、等の問題について、安全管理体制が確立している近隣の大学や研究機関が協力することで、確実な実施を可能とする提案が含まれている。このガイドラインに沿って、細胞性粘菌の組み換え体を使用する3年次学生の実験を行い、その教育的な効果について検討をした結果、特に安全管理上注意すべき生物体の不活化処理、インキュベーターの誤動作を想定したシミュレーション環境での誤動作からの回復の手順、蛍光顕微鏡を用いた細胞の観察、等の手順について、習熟度を高める傾向が認められた。 それらの試行実験の結果を受けて実験方法のマニュアルの作成をし、年度末の時期に、それに基づいた、より多人数での実験の実施を計画していたが、震災の影響により計画が頓挫してしまい、また、この教育的実験系の開発に必要であった細胞性粘菌の標準株のストックが長期の停電により失われるなどの数多くの問題が生じ、計画の遂行が非常に困難になったことから、23年度への繰越しをふくめ、実験計画を再編した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
当初の目的に沿って、高等学校のクラス規模での試行的な教育的実験の実施を計画していたが、震災の影響によって実施が不可能となった。また、使用する培地の組成について、完全合成培地による培養効率を高めることが非常に難しい点も問題であった。実験マニュアルの作成、安全管理のガイドラインは作成し、これによって、シミュレーション実験環境の基本的な構成は完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度には、本学の3年次生の学生実験において、開発したシミュレーション実験環境を試用するほか、高等学校での試行的実験を計画し、少人数(10人以下)での試行実験のステップのあと、より多人数(1クラス程度)での実験の実施を計画し、実験マニュアルの改訂を進めながら、より教育効果の高い実験系を確立する。
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