2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500883
|
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
阿部 知顕 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (40382684)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 澄夫 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (00007197)
前田 靖男 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 名誉教授 (50025417)
|
Keywords | 細胞性粘菌 / 教育的実験系 / 理科教育 / 細胞培養 / 動物培養細胞 / 高等教育 / 中等教育 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
当該年度は本研究の最終年度にあたるため、細胞性粘菌の培養系をもちいながら、あたかも動物細胞を培養しているような経験をすることができる教育的実験系の確立を目指して研究を遂行した。その結果、使用する培地の色が異なる点を除いては、当初の目的にかなう教育的実験系が開発された。学内での学生実験、および、本学に来学した高等学校の生徒の体験授業において、その系を利用した実験を行った結果、クリーンベンチでピペット等の器具を使用した培地交換、細胞の植え継ぎなどの基本的な培養操作、インキュベーターの操作、顕微鏡による細胞数のカウントや形態観察等の操作など、基礎的な動物細胞培養に関わる操作の習熟度を高める効果が認められた。 また、学生および生徒の細胞に対する興味を高める効果も認められた。この点について、シミュレーション実験環境としての細胞性粘菌の利用に限定せず、あらかじめ実験に参加する学生および生徒に対して、細胞性粘菌の生物学的な特徴について説明した上で、同様の実験操作を経験させた場合においても、培養操作全般についての習熟度に変化が認められなかった。さらに、細胞への興味を高める意味においては、扱う対象としての細胞性粘菌について、詳しい説明をしてから実験を行う方がむしろ効果的であり、細胞生物学に対する、継続的な興味を引き出す効果も高いと思われる。 本研究を通じて、細胞培養の操作全般について習熟度を高めるための安価な教育的実験系として、細胞性粘菌が有効であることが示された。加えて、この生物への興味を、むしろ引き出すことにより、さらに科学的な興味を高めることが認められたことから、今後、教育的な実験の場で細胞性粘菌がより広く用いられることによって、中等・高等教育の場での理科教育の水準を高める効果もあるものと期待される。
|
Research Products
(1 results)