2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500890
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
瀬戸 悟 Ishikawa National College of Technology, 電気工学科, 教授 (50216545)
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Keywords | 学生実験 / 有機EL / スピンコート / 真空蒸着 |
Research Abstract |
本申請課題では、高専電気系学科の「モノづくり教育」の一環として、目で見える形の電子デバイス、具体的には「光る」電子デバイスを作製させる新しい実験教材「有機ELの作製と分光特性」を開発し、モノづくりの楽しさを実感できる実験の実施とその有効性を検証することを目的とする。 平成21年度では、学生がスピンコート法と真空蒸着法の二つの薄膜作製法を経験できる Al/Alq3/PVK/ITO/glass構造で有機ELデバイスを試作した。具体的にはPVK膜はスピンコート法で、Alq3膜は真空蒸着法で作製した。それぞれの膜厚の制御はPVKの場合は溶液の濃度とスピンコートの回転数を変化させて、Alq3の場合は蒸着時間で変化させて制御した。作製したAlq3膜を窒素レーザー励起による蛍光評価した結果、文献と同じ波長にピークをもつ強い蛍光が観測できた。さらにパルス窒素レーザー(800ps)で蛍光寿命の評価もあわせて行ない、蛍光寿命は約10nsであった。しかしながら試作したAl/Alq3/PVK/ITO/glass構造による有機ELは電圧を印加しても発光に至らなかった。この原因はガラス基板の洗浄が不十分であるためにスピンコートしたPVK膜に厚みのムラが見られ、PVK膜が絶縁膜として働き、十分な電流が流れなかったためである。この問題点を解決するためにはガラス基板の洗浄状態が膜質に影響が少ない真空蒸着法で全ての膜を作製する必要がある。そのために次年度はPVKに変わる正孔輸送層としてTPD薄膜を採用してデバイスを作製する。これによって学生が実験を実施しても安定して"光る"有機ELデバイスを作製できるように実験内容を見直して、最先端と思われた有機ELデバイスを学生に作製させる。この実験の経験をとおして材料系のものづくりに興味を持たせることができる。次年度は学生実験課題「有機ELの作製と分光特性」を完成させて後期の学生実験に実施する。
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