Research Abstract |
研究代表者の松原は,平成17年度~平成18年度の科研費により,教科「情報」の情報モラル教育を支援するインタラクティブ型ディジタル教材の開発を行った。この結果,具体的な題材を提示し情報モラルに直接に関係する教材は利用しやすく分りやすいという長所があるが,個別の事例から普遍的な認識に至るには,情報に関する本質的な理解が不可欠であるとの結論を得た。この課題を解決するには,情報安全について情報学の立場から検討し,あらたな枠組みを提示する必要がある。そこで,松原は,中央教育審議会・専門委員を務めていたので,情報の専門部会で,「情報のモラルと安全」に関わる本質的な理解の重要性を強調するとともに,新たな情報教育の枠組みを提案し,教科「情報」の学習指導要領の改訂に寄与してきた。そこで,本研究では,新学習指導要領に対応した教科「情報」のカリキュラム開発とその学習支援環境の構築と題して,情報安全をコアとする情報学教育の授業の標準モデルを開発することを目的とする。 本年度は,昨年度に引き続き,人文社会系の情報学に重点を置き,自然科学系の情報学をも視野に入れて,「文理融合の情報学教育」という視点で,学習内容を分析・整理を行った。また,新科目「社会と情報」において情報学の教育としての特色を鮮明にした学習支援環境に「協働学習」の考え方を取り入れ,情報学教育を支援するための授業モデルを検討して,Webサイトに「協働学習支援環境」を設計し,試作版を開発した。さらに,その理論的背景を,「情報学教育の新しい展開」(開隆堂)として発行するとともに,昨年度発足した「情報学教育研究会」では,その活動成果を「情報学教育研究2011」としてまとめて,Webサイトにおいて公表した。
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